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釧路水産試験場

海藻おしばの作り方

海藻おしばを作りましょう

海藻を厚紙に貼って乾燥させて作る海藻おしば、陸上植物のおしば以上に色や形がきれいです。 今回は専用の道具などを使わなくても家にあるもので簡単にできる海藻おしばの作り方を紹介します。

海藻の採集

1.採集
採集写真
まず近くの海の写真のような平磯で、色や形のきれいな海藻を集めましょう。 また海岸や砂浜に打ち上げられた海藻の中からきれいなものをひろってもいいでしょう。

※子供だけでの平磯での海藻採集は非常に危険です。必ずおとなの人と一緒に行きましょう。
2.持ち帰り
バケツ
採集した海藻はバケツなどに海水といっしょにいれると、海藻が元気なままで持ちかえれます。
簡単入手
海藻サラダ写真
海に行かなくても簡単におしば用の海藻を手にいれることもできます。 それは、スーパーなどで売っている海藻サラダ(乾燥品)を水にもどして使う方法です。

※市販の海藻サラダには100%ワカメだけのものと、 色々な種類の海藻を材料にしているものがありますので、後者をえらんでください。 使用している海藻の種類はパッケージ裏面に書いてあります。 なお、ワカメ・コンブなどの大きな海藻はきざんであり形がありませんので、 緑藻・紅藻などの小さな海藻で形のこわれていないものを選びましょう。

海藻をあらう

3.バットに移しかえ
バット写真
採集してきた海藻は、できれば写真のようなバットに移しかえます。

※バットのような平たい容器であれば、何でもかまいません。
4.きれいにする
きれいにする写真
バットにいれたあと(またはバケツのまま)、左の写真のように水道水で軽くすすいで、 海藻の表面に付いている海水とゴミや生物などを洗い落としてきれいにします。
そのあと別の真水をいれたバットに移しかえます(下左の写真)。
これでおしばにする海藻の準備ができました(下右の写真)。
    • 移し替える写真
    • 準備完了写真

海藻をえらぶ

5.おしばにする海藻をえらぶ
選択写真
つぎにおしばにする海藻をえらんで、もう一度手で海藻の表面を洗ってから、 真水をいれたバットに移します(下の写真)。

◎硬いゴツゴツした海藻は、布で水をぬぐって台紙に直接ひろげます。→工程9へ飛ぶ
◎薄くて赤っぽい海藻は、変色しやすいので先に→次の工程6へ
◎膜状で薄いものや、やわらかい海藻は→次の工程6へ

海藻おしばを作る

6.海藻をひろげる
ひろげる写真
そして真水を半分くらいいれたバットに、おしばにする海藻を1つずつ入れて静かにひろげます。
7.台紙を入れる
台紙を入れる写真
海藻の下に台紙を静かにいれます。

※台紙はあらかじめ元の大きさ(B4程度)のほかに、その1/2、1/4に切ったものを用意します。
※台紙の種類はケント紙が一番いいのですが、市販画用紙でもかまいません。
8.かたちを整える
かたちを整える写真
台紙の上で海藻をひろげて、その形をピンセットなどを使ってととのえます。 特に下の写真のように枝わかれして形の細かい海藻は、ていねいに行ってください。

※ピンセットがなければ、妻よう枝、焼き鳥のくし、箸などを使いましょう。

水きり

9.水気をよくきる
水切り写真
台紙の上で海藻の形をととのえたら、水にゆられて形がこわれないように、静かにとり出して、 写真のように斜めに立てかけた水きり台の上にはりつけて、海藻および台紙の水気をよくきります。

※この際、台紙は水分をふくんでいますので、すべり落ちることはありません。 水滴が流れたり、落ちなくなれば水きり終了です。
※水きり台は、木製のすのこ(押し入れやガーデニング用)が一番いいのですが、なければまな板など何でもかまいません。 左の写真では大型のバットの裏面を使ってみました。

海藻おしばを吸取紙でサンドイッチ

10.吸取紙の上にならべる
並べる写真
水分がじゅうぶん切れましたら写真のように吸取紙をおき、その上に海藻の上と下をそろえてならべておきます。

※吸取紙は専用のものが市販されていますが、一般の店では売っていませんので、吸湿効果のある紙であれば何でもかまいません。 代用品としては写真のように新聞紙を4ツ折りにして使うのが一番手軽です。
11.サラシ布をかぶせる
サラシ布をかぶせる写真
海藻をならべたら、その上にサラシ布をかぶせます。

※新品のサラシ布には最初のりが付いていて、そのまま使うと海藻がくっついてはがれなくなりますので、一度洗ってから使いましょう。 サラシ布がなければ使い古したワイシャツ地でもかまいません。 ただし、ガーゼはその繊維質が海藻表面に付いて、みばえが悪くなることがありますのでやめましょう。
12.海藻おしばをサンドイッチ状態にする
サンドイッチ状態写真
その上に吸取紙をのせて、海藻おしばをサンドイッチ状態にします。
13.繰り返す
繰り返す写真
工程の10〜12を繰り返します。

※この際、サラシ布の上に吸取紙をのせたその上にダンボール紙をのせ、さらに吸取紙をのせてから海藻をのせると、 通気性が良くなり、工程15の乾燥時間を短くできますので試してみましょう。

おもし

14.おもしを乗せる
おもし写真
最後に吸取紙よりも大きめの平らな板(おし板)をのせ、さらにその上におもしとなる厚手の本などをおきましょう。

※おもしは市販のビニールで被覆された軽めの漬物石も使えます。 あまり重たいと海藻によってはつぶれて形がこわれてしまいますので注意しましょう。

乾燥

15.風通しのよいところで乾燥させる
プロペライラスト
上の工程でできた海藻おしばは、じゅうぶん乾燥するまで風通しのよいところにおき、吸取紙を最初の1-2日は毎日2回以上、 その後は毎日1回乾いたものと交換しましょう。また毎日海藻の乾燥具合も確認しましょう。

※この作業の時、海藻おしばにかぶせたサラシ布は取らないで、吸取紙だけを交換してください。
※新聞紙は吸湿量があまり大きくないため、まめに交換して海藻にカビなどが生えないように注意しましょう。
※この工程では特に工程13でダンボール紙を使っていると、扇風機で風を横からあてると、 短時間で乾燥できますので試してみましょう。

おしば完成

16.ていねいにはがす
ヨットイラスト
数日後(3-7日くらい)にじゅうぶん乾燥して海藻おしばができましたら、吸取紙を取り、 海藻おしばにかぶせたサラシ布を海藻の下側(根の方)からていねいにはがします。

※この際、海藻によってはサラシ布に強く付いているものがありますが、 海藻の下側からゆっくりていねいにはがせば大丈夫です。
※逆に台紙に付かない海藻は、のり付きの紙テープなどを細いバンド状に切ったもので台紙に固定しましょう。

海藻おしばのいろいろな使い方について

いろいろ飾る

そのままでも額縁などにかざるときれいです。 さらに、海藻おしばや台紙に着色してからかざってもきれいです。 また、台紙から海藻本体をはがして、陶器やガラス製品に貼りつけてもきれいでしょう。
〔植物等に使う専用の接着・コーティング用薬剤が手芸屋さんなどで売られています。〕

おしばのしおりとはがきを作る

しおり:手ごろな小さめサイズの海藻おしばをえらび、台紙を縦ながに切って、 接着剤付の市販ビニールシートをはり、かわいいヒモをつけて本のしおりにします。
はがき:海藻おしばをつくる際、台紙の代わりに暑中見舞いのはがきなどを使い、 適当な場所に海藻をはりつけておしばを作り、仕上げに接着剤付の市販ビニールシートを海藻部分にはります。
〔本の表紙などのラミネート用接着剤付き透明フイルムが文房具屋さんなどで売られています。〕

海藻標本として整理する

おしばにした海藻それぞれの名前を海藻図鑑などでしらべて、「種名、採集場所、採集日、採集者氏名」などを書いた標本ラベルを作ります。 そして、海藻おしばを1枚ずつB4またはA3サイズの標本台紙にはり、さらに標本ラベルを標本台紙の右下あたりにはって整理します。
〔海藻の名前などをしらべるのに便利なおすすめの海藻図鑑には、 ○日本海藻図鑑(保育社発行、税込5300円)、 ○学研生物図鑑 海藻(学習研究社発行、税別3980円)などがあります。〕

※ほかにもユニークな用途を色々考えましょう

海藻が乾燥したようす

海藻は乾燥しておしばになると下のように変わります。

アナアオサ(緑藻)

    • 乾燥前
    • 海藻おしば

アナメ(褐藻)

    • 乾燥前
    • 海藻おしば

ヒバマタ(褐藻)

    • 乾燥前
    • 海藻おしば

ネブトモク(褐藻)

    • 乾燥前
    • 海藻おしば

クロハギンナンソウ(紅藻)

    • 乾燥前
    • 海藻おしば

クシベニヒバ(紅藻)

    • 乾燥前
    • 海藻おしば

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調査研究部 管理増殖グループ

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