森林研究本部へ

林業試験場

ヒメコガネ

ヒメコガネ

写真1 成虫。

写真2 成虫。

被害の特徴
樹 種 針葉樹・広葉樹、草本。苗畑の針葉樹で被害が多い。
部 位 葉(成虫による被害)、根(幼虫による被害)。
時 期 7月~8月(成虫加害時期)、通年(幼虫加害時期、冬季を除く)。
状 態 葉が食べられる。食害部位に成虫がいる。
苗木が枯れる。土中に幼虫がいる。細根が少なくなり、根にかじられた跡がある。
成 虫 成虫は体長約15mm。緑、紫、銅色などに輝く。
幼 虫 体長最大約30mm。黄色、頭部は褐色。
コガネムシ科の幼虫はC字型、触角・胸脚が長く、大アゴが強大、胸腹部にシワが多い。

和名  ヒメコガネ

学名 命名者   Anomala rufocuprea Motschulsky

分類  コウチュウ目(鞘翅目)Coleoptera、コガネムシ科Scarabaeidae


寄主  幼虫はトドマツ・エゾマツ・カラマツ・サクラ類・ポプラ類・ヤナギ類他の根を食べる;成虫はサクラ類・クリ・ブドウなどの葉を食べる(文献1985)。

生態  生活環は下表のとおり(文献1985を一部改変)。成虫は年1回発生、北海道では卵が成虫になるまで2~3年を要する(文献1985)。温暖な気象条件下では成長が早まる(文献1994参照)。
 成虫は夏に出現、羽化後約20日で産卵する;卵は土中に1個ずつ産まれる(文献1985)。孵化幼虫は幼虫は土中にある腐った葉・根・枝などを食べる。成長すると生きている根も食べるようになる。幼虫で3回冬を越し、4年目の初夏に蛹になる。

 発育ステージ ~3月   4    5    6    7    8    9   10   11~
 成虫・卵                  ◎◎ ◎◎◎            
 幼虫
(+越冬、◆摂食・成長)
                    ◆◆◆ ◆◆◆ ◆◆◆ +++
+++ +++ ◆◆◆ ◆◆◆ ◆◆◆ ◆◆◆ ◆◆◆ ◆◆◆ +++
+++ +++ ◆◆◆ ◆◆◆ ◆◆                 
 蛹              ◇◇ ◇◇◇                

分布  北海道・本州・四国・九州、サハリン,朝鮮半島。

被害と防除  幼虫による苗畑での被害が大きい(文献1985)。針葉樹苗の被害が大きく、特にヒノキで被害が激しい。苗木は幼虫の食害により枯れることがある。
 苗畑では被害は3年目に大きくなる。被害の出やすい苗畑では2年間隔で床替えするのが望ましい。
 水銀灯・青色蛍光灯などを用いて成虫を集めて駆除する。農薬による駆除が必要と判断される場合はコガネムシ用の農薬を散布する。薬剤は取扱説明書に従って使用すること。


文 献
[1985] 林康夫・吉田成章・小泉力・高井正利・秋田米治・福山研二・前田満・柴田義春・中津篤・田中潔・遠藤克昭・松崎清一・佐々木克彦, 1985. 北海道樹木病害虫獣図鑑. 223pp. 北方林業会, 札幌. (生態、被害、カラー写真)
[1994] 倉永善太郎, 1994. ヒメコガネ. 小林富士雄・竹谷昭彦(編), 森林昆虫, 総論・各論: 371-373. 養賢堂, 東京. (形態,生態,防除)

2011/6/29