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林業試験場

クロマツ海岸林の管理技術

<目的>
道南地方の海岸には、クロマツ海岸林が造成されています。強風害や冠雪害を防ぐためには、適正な間伐を施し、樹冠を発達させて幹を十分に太くする必要があります。しかし、海岸地域は海風が強く、いくら耐塩性が高い樹種でも海塩によって枯死する場合があります。そのため、海岸林特有の密度管理が必要となります。

<成果>
密度管理図を用いた間伐方法

図-1 北海道におけるクロマツ海岸林の密度管理図
※図の例では,当初2000本/ha・240m3/haだった林分(オレンジ色の丸印)が,間伐後,矢印の方向へ移動して1400本/ha・180 m3/ha になる。

実際の間伐効果
間伐することで,どのていど生枝の枯上がりが抑えられ,形状比(=樹高/幹 直径)が変化するのか調べました。調査は,門別町富川のクロマツ海岸林(1987年造成)で行ないました(図-2)。この林分は1992年5月に間伐され ,再調査は2001年(15年生時)に行ないました。2001年現在,内陸側の1区・3区は地位指数が7程度,海側の2区・4区は8程度の林分です。

図-2 間伐試験地の配置

結果は,次のとおりでした。
内陸側における60%間伐(3区)は枝の枯上がりを抑制し,形状比を低下させた。
60%という強度の間伐(2区・3区)でも林冠は閉鎖できる。
海側の二区画(2区・4区)では,間伐による疎開のために枯死した個体が比較的多くみられた。
以上から,地位指数が7程度のような,海に近い側は間伐を行なわない犠牲林帯として取り扱い,地位指数が8以上の林分では,林齢が若いうちに思い 切った間伐が必要と考えられます。

<発表>北方林業 (2001) 53:265-268,光珠内季報 (2001) 125:1-5,光珠内季報 (2003) 129:11-14

密度管理図をもとに間伐を行なったクロマツ海岸林
(恵山町中浜)
間伐試験地を設定したクロマツ海岸林
(門別町富川)