北海道の樹木害虫
概 要
北海道では2001年現在までに約350種の樹木害虫の生息が確認されている.
これらは以下の3とおりに分けられる.
・北海道で被害記録がある種(同定に疑問のある種も含まれる).
・道内で被害が観察されているが,これまで正式な被害記録がない種.
・本州などで害虫とされている種で,道内に生息するものの被害が観察されていない種.
害虫種数はかなり多いが,そのほとんどの種では被害を起こすことはまれである.
被害はおよそ次のように分けられる.
・木材,苗木,花木,種子,果実などの生産量や利用価値を下げる(経済的被害).
・樹木を衰弱させたり枯らす(樹木への害,環境的被害).
・人に皮膚炎などの害を及ぼす(人体への害).
これまでの被害記録の中には被害とみなすのは不適当と考えられる場合がときどきある.例えば,
よくみられる昆虫は実害がなくても害虫図鑑に載っていることがある.この点については個々の種のところで指摘した.
害虫の種は,外観および,被害を受けた樹種,発生時期,被害の状態などからだいたい識別できる.
最近発生している主な害虫
吸汁性害虫(樹液を吸う害虫;アブラムシ,カイガラムシなど)
トドマツオオアブラムシ (トドマツ幼齢林;春から秋まで幼木の幹や枝で加害)
エゾマツオオアブラムシ (アカエゾマツ幼齢林;春から秋まで幼木の幹や枝で加害)
食葉性害虫(葉を食べる害虫;ケムシ,イモムシなど)
ニホンカラマツヒラタハバチ (カラマツ中高齢林;7~8月に葉を食害)
カラマツハラアカハバチ (カラマツ中高齢林;7~8月に葉を食害)
ツガカレハ (トドマツ中高齢林;春および秋に葉を食害)
マイマイガ (カラマツ林,広葉樹林;6~7月に葉を食害)
穿孔性害虫(幹や枝に潜る害虫;キクイムシ,カミキリムシなど)
ヤツバキクイムシ (エゾマツ,アカエゾマツ,トウヒ類;6~8月に内樹皮を食害)
カラマツヤツバキクイムシ (カラマツ;6~8月に内樹皮を食害)
オオゾウムシ (針葉樹,広葉樹;土場積みの丸太材内を食害)