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林業試験場

1977年有珠山噴火による降灰が森林に及ぼした影響その1

1977年有珠山噴火による降灰が森林に及ぼした影響(1)

-噴出物および埋没土壌の化学性の経時変化-

林業試験場 佐藤 創・寺澤和彦・長坂晶子・菊地 健

2000年3月31日、有珠山が23年ぶりに噴火しました。ここでは、前回の噴火時に当試験場で行った調査研究の概要を紹介します。
(北海道林業試験場研究報告 第37号、2000年3月、1ページから9ページ掲載記事)

要旨

林床に堆積した1977年有珠山噴火による噴出物および埋没土壌の化学性を,噴火から毎年5年間と21年後に調査した。調査地の噴出物の厚さは10~35㎝であった。噴出物の水溶性塩基類濃度は噴火直後あるいは1年後に最大に達し,その後数年間は減少した後,一定で推移したが,表層部分の水溶性塩基類濃度は5年後から21年後にかけて大きく増加した。埋没土壌の水溶性塩基濃度は当初5年間は減少したが,21年後にかけて増加した。噴出物の水溶性塩基濃度は当初Na>Ca>Mg>Kの順であった。各成分は上層から下層へ移動したが,その移動速度はNaが最も速かった。噴出物の置換性塩基類濃度は水溶性塩基に似た変化を示したが,より緩やかであった。埋没土壌の置換性塩基類濃度は噴火後やや増加する傾向があったが,5年後から21年後にかけては減少した。噴出物の置換性塩基濃度は当初Ca>Na>Mg>Kの順で,下層への移動速度はNaが最も速かった。噴出物のpHは当初6.8~7.7の弱アルカリ性であったが,5年後にかけて5.9~6.9に低下し,21年後も似た値を示した。噴出物の炭素量は5年後までは少なかったが,21年後には表層で大幅に増加した。土壌への炭素集積速度は0.495~


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