法人本部

道総研セミナー
地震災害への心がまえと防災の意識

  今回は「防災」をテーマに、北方建築総合研究所で行っている研究をご紹介し、約40名の方々にご参加いただきました。

  • 日時 平成29年9月9日(土) 15:30~16:30
  • 場所 紀伊國屋書店札幌本店 1階 インナーガーデン(札幌市中央区北5条西5-7 sapporo55)
  • 主催 地方独立行政法人 北海道立総合研究機構
講師が話している写真

こんなお話をしました

講師: 道総研 建築研究本部 北方建築総合研究所 構造判定部長 渡邊 和之

講師が話している写真2

 

1.地震・・・・・何だろう?(地震発生のしくみや被害)

○9月1日は防災の日
昔は立春からおよそ210日目であることから“二百十日”と言われ、台風などの災害が多い時期とされており、1923年(大正12年)には関東大震災が発生した日でもあります。札幌でも平成26年9月11日の豪雨では、札幌市民約78万人を対象に避難勧告が発令されたことは記憶にも新しいことです。


○地震・・・・・何だろう?その正体は?
地震とは、大地に揺れをもたらす源(地下で発生したなにものか)であり、 正体は「地下の岩盤中に蓄えられた歪みのエネルギーを解消するために発生した断層運動である」とされています。北海道にも確認や想定がされている断層が多くあり、決して地震が少ない地域ではありません。


2.地震動による被害と備え(建築基準法の変遷と耐震・・・建物の耐震化)

○建物(住宅)の耐震化
建物(住宅)の耐震化は地震災害から“人命を守る”、“財産を守る”、”生活を守る”、また、建物倒壊や損壊により救助や復旧・復興の障害にならないことも大切です。現在の耐震基準は新耐震基準と言われ、昭和56年6月から適用されており、震度6~7程度の地震に対しても倒壊などが起こらないことを目標にしています。


○北海道における住宅・建築物の耐震化の現状
  住宅については、平成27年度末時点で耐震化率が86.5%と推計されています。平成32年度の耐震化率の目標は、住宅において95%とされており、更なる促進が必要です。
  誰でもできるわが家の耐震診断が日本建築防災協会(建防協)のホームページで公開されており、ご自分で簡単に診断することも可能です。
http://www.kenchiku-bosai.or.jp/files/2013/11/wagayare.pdf
  また、阪神・淡路大震災(1995年)では、死者(約6400人)の約8割が木造住宅などの倒壊や家具の下敷きによる圧死や窒息死です。家具の配置や転倒防止措置を施すことも大切です。


○熊本地震の被害
  2016年の熊本地震(二度の震度7の地震動)における住家被害は全壊約8,700棟、半壊約34,000棟、一部損壊約156,000棟で、新耐震基準の住宅にも被害が生じています。新耐震基準の木造建築でも平成12年以前に建築された在来軸組工法の住宅については、リフォーム等の機会などに耐震性能を検証し、その機会を利用した耐震化が望ましいとされました。



★(独)防災化学技術研究所 兵庫耐震工学研究センターで行われた実験の画像を見ていただきました。
(阪神淡路大震災で観測された地震波を木造住宅に加振した実験)


○地震災害により被害が発生すると
  大地震で建物が被災すると“被災建築物応急危険度判定”が行われます。これは被災した建築物を調査し、人命にかかわる二次的災害を防止することを目的としており“危険”(赤紙)、“要注意”(黄色)、“安全”(緑色)の判定表が住宅や建物に貼られて知らされます。なお、応急危険度判定は二次的災害を防止が目的ですので、罹災証明や保険などの損害を証明するものではありません。

 

3.地震災害への備え・・・・・防災の意識(地震後の対応、避難・・・心がまえ)

○住んでいる地域の理解、家族での話し合い、地区・地域のコミュニケーション
  大規模な災害が発生したときには、建物の損壊や道路・上下水道なども大きな被害を受けており、地震発生から最低3日間は“外部の支援が来ない”ことを前提として暮らしを守る心構えが必要です。公助、共助・互助など外部からの支援もありますが、自らの命は自ら守る”自助“の意識と“地域の協力”が重要です。ハザードマップで住んでいる地域において、災害時の避難場所や避難場所への経路など理解しておくことや、近隣住民とのコミュニケーションがいざというときに大切です。


○“まさかは必ずやってくる”
  訓練・練習や話し合った以上のことはできないと考えて、普段から災害時の”心がまえ”が必要です。地域の防災訓練(消火訓練、救助訓練、避難・誘導訓練、避難所体験など)や北海道シェイクアウト(一斉地震防災訓練)など多種多様な訓練や取り組みがありますので、その経験が活きてきます。災害に負けないように“そなえよつねに”そして”いつもげんき!”に過ごしましょう。


4.北総研の防災に関する研究の取組

  北方建築総合研究所では、神恵内村及び厚岸町との連携協定を締結し、津波防災対策の研究や情報提供等を実施に取り組んでいます。その他に北海道特性を考慮した災害への研究や業務にも取り組んでいます。


講演資料

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講演資料PDF


案内チラシ

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