第1回 小豆
美容と健康は小豆から!
2010年7月2日(金)
農業研究本部 中央農業試験場 加藤 淳(かとう じゅん)
こんなお話をしました
豆類は日本人の食生活に古くから取り入れられており、大豆や小豆、インゲン豆(菜豆)などは、様々な調理加工品となって食卓に上ります。世界的に見ると、マメ科の植物は18,000種を超え、このうち食用に供されるのは約70種です。この中には、小豆やインゲン豆、エンドウのように炭水化物が主体の豆類と、大豆や落花生のようにタンパク質と脂質が主体の豆類があります。
小豆は国内生産量の8割以上、インゲン豆では9割以上が北海道で栽培されています。また、大豆に関しては、国産大豆はほぼ全量が食用に使われており、その約半分は豆腐に加工されます。国内における大豆の生産量は20万トン前後(自給率約4%)ですが、食用の自給率としては15~25%程度で、その2割前後は北海道で栽培されています。
豆類には、疲れを取り除くビタミンB1や、美しい肌を保つためにも必要なビタミンB2とB6も多く、ミネラルも豊富に含まれています。タンパク質を構成しているアミノ酸のうち、体内で生成できない必須アミノ酸のバランスも良好です。日本人の主食であるお米には必須アミノ酸のうちリジンが少ないため、リジンの多い豆類とお米を組み合わせて食べることにより、タンパク質の利用効率が高くなります。
また、欧米型の食生活が進むにつれ、食物繊維の摂取量は減少の一途をたどっています。小豆やインゲン豆にはゴボウの約3倍の食物繊維が含まれており、便秘の解消や大腸癌の予防に効果が期待されます。
一方、糖尿病を始めとする生活習慣病や癌などの病気、さらには老化の要因と言われる活性酸素。小豆には、この活性酸素を除去する成分、ポリフェノールが赤ワインの2倍近くも含まれています。小豆のポリフェノール含量およびその抗酸化活性については、輸入小豆よりも「エリモショウズ」や「しゅまり」をはじめとした北海道産小豆で高く、その優位性が認められています。 また、動物実験の結果から、ポリフェノールを主体とする抽出物には、血糖値上昇抑制や血圧上昇抑制効果等のあることが明らかになりました。また、小豆煮汁加工飲料を用いた人体試験の結果でも、中性脂肪値の低下傾向が確認されました(2007年道立中央農試調べ)。
小豆が私たちの食生活に欠くことのできない食材として、今日まで綿々と受け継がれてきたのは、その美味しさはもちろんのこと、健康を維持する上でも重要な役割を果たしてきたことがあげられます。
小豆は日本の食文化の重要な担い手であると同時に、栄養性や健康機能性においても優れた食材と言うことができます。
質問にお答えします
質問 |
回答 |
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小豆の食べ方で一番美容に効果的なのは何ですか?(小豆の機能性を効果的に体内に取り込む方法) |
小豆の抗酸化活性に関与しているポリフェノールは、水溶性の成分ですので煮汁に溶け出してきます。
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1日どれくらい食べれば良いのでしょうか? |
厚生労働省は「健康日本21」の中で、豆類(大豆及びその他の豆、加工品を含む)の摂取量を成人1日当たり100g以上と設定しています。
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収穫後、何年以内に食するのが一番良いのですか? |
高温・多湿条件で長期間置いておくと品質劣化が進み、「ヒネ豆」と呼ばれる煮えづらい状態になります。
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小豆の場合、産地ごとの成分の差がありますか? |
小豆の抗酸化活性やポリフェノールの量は品種や産地によっても異なり、特に北海道産の普通小豆は中国産の2倍程度も高くなっています。
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小豆は利尿作用があるといいますが、どの成分がその働きをさせるのでしょうか? |
カリウムを多く含む食材には利尿作用があります。
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野菜だと加熱するとビタミンが失われるという話を聞きますが、豆はどうですか? |
ビタミン類は、加熱することによって増えることはありません。
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小豆は輸出していないのですか? |
国内で消費される小豆及びその加工品の原料のうち、約半分が中国等から輸入されていますが、輸出はされていません。
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「小豆」の読みは、「あずき」が正しいのですか? |
北海道内や製餡業界等ではどちらも使われており、両者とも正しいと言えますが、日本語としては「あずき」が一般的です。
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さらに詳しく知りたい方は・・・
動画(道総研のオフィシャルチャンネル)
当日の資料(美容と健康は小豆から.pdf)
案内チラシ
ご協力いただきました
ホクレン
キクロス出版