法人本部

第3回 温泉と火山

温泉と火山のお熱い関係

2010年9月10日(金)
本部研究企画部 高見雅三(たかみ まさぞう)

こんなお話をしました

 温泉は、北海道の観光資源としても極めて重要ですが、道民の憩いの場としても非常に貴重な資源です。北海道には、有珠山や樽前山など、多くの活火山があり、ひとたび噴火すると、私たちの生活に甚大な被害を及ぼすことがあります。

その一方で、火山の恵みとして温泉があります。2000年の有珠山噴火が記憶に新しいと思いますが、洞爺湖温泉は明治43年の噴火でできた温泉です。活火山の周辺には、登別温泉、阿寒湖温泉、ニセコ温泉、白金温泉など数多くの温泉があります。

一方、活火山とは無縁でかつ地表に温泉徴候がない石狩平野や十勝平野などの平野部でも、近年、ボーリングによる温泉開発が行われています。

道総研では、温泉が枯渇しないように資源管理に関する調査研究や、温泉熱の有効利用などについて技術指導を行っています。

今回のセミナーでは、温泉と火山の知っているようで知らない関わりを中心にお話ししました。

前半は、温泉の定義、熱源(火山性、非火山性)、温泉の貯まり方(層状タイプ、亀裂タイプ)について述べました。

また、泉温による分類について、道内の温泉では、
①42℃以上の高温泉が約70%であること
②皮膚がつるつるする「美人の湯」と言われるアルカリ性温泉が多いこと
③国内で一番といえるほどの酸性泉があること

などが特徴です。また、温泉の種類では、食塩泉、単純泉、硫黄泉の順に多いことも特徴です。

さらに、泉質ごとの効能や代表的な温泉地の紹介など、温泉に関する様々な話題を取り上げました。

参加者からは、モール泉や海岸近くの温泉の特性について質問がありました。また、「一番お奨めの温泉は何か?」という質問について、多くの泉質が楽しめ、浴室内で間欠泉を見ることができる登別温泉の「温泉のデパート パラダイス」が挙げられますが、現在、残念ながら施設はありません。次のお奨めについては、北海道はどこでも良質の温泉が多いので、限定することが難しいです。

後半は、温泉施設に掲げられている温泉分析表の見方、禁忌、表示義務などのほか、温泉資源の分布や開発方法、開発時や利用時の申請等について説明しました。温泉は限りある資源であることや温泉利用の心得についてもお話ししました。

最後になりますが、このセミナーのお話をもとに、今後、さらに楽しく温泉を利用していただければ幸いです。

質問にお答えします 

質問

回答

会場からの質問

高見さんのおすすめの温泉を教えてください

北海道の温泉はどこもおすすめできます。強いて言えば、個人的には多くの泉質を楽しむことが好きなのと浴室内での間欠泉に興味があったことから、登別温泉にあった「温泉のデパート パラダイス」というホテルが好きでした。残念ながら現在ホテルはありません。

モール温泉の数は本当に少ないのでしょうか

モール泉は、北海道内では十勝川温泉が有名ですが、食塩泉や酸性泉のような泉質分類には該当せず、俗称で呼ばれています。
モール泉の定義は明らかではないようですが、一般には色ではなく、泉質分析表に「腐食質」が含まれていると量に関係なく、モール泉と呼ばれるようです。
石狩平野にも、この「腐食質」がある温泉は比較的多くありますので、モール温泉の数は必ずしも少ないとは言えないと思います。

海岸の温泉は高い確率で塩分を含んでいるのでしょうか

海岸線北海道の泉質は、場所に関わらずナトリウム-塩化物泉(旧泉質名食塩泉)が多いため、海岸の温泉が高い確率で塩分を含むとは必ずしも言えません。

さらに詳しく知りたい方は・・・

動画道総研公式チャンネル

当日の資料温泉と火山のお熱い関係.zip

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  案内チラシ

      

ご協力いただきました

岩内地域地場産業サポートセンター(岩内町)
胆振総合振興局
釧路総合振興局