北海地鶏Ⅱ
第3話 おいしい地鶏を北海道から~「北海地鶏Ⅱ」のお話
道総研 畜産試験場 國重 享子
鶏肉といえば、スーパーなどでも販売されている とても身近な食材ですが、最近、居酒屋やレストランなどで、「地鶏」という表示を見かけることが増えてきました。
国内で出荷される食用鶏は、大きく分けて3種類あります。最も一般的なものは「ブロイラー」で、増体(家畜の体重が増えること)の良い肉専用の品種を数種類かけ合わせてつくられています。非常に増体が良く、ふ化後、約8週間で出荷されます。
また、スーパーなどで「○○鶏」という名前で売られている鶏肉は「銘柄鶏」といい、鶏はブロイラーと同じですが、飼料や飼育方法を工夫した鶏肉のことです。
一方、地鶏等の占める割合(羽数)は約1%に過ぎませんが、高い人気を誇っています。
「地鶏」とは、昔から日本で飼育されている在来種を親とするひなを、特別な飼育方法で育てた食用鶏です。名古屋コーチンや比内地鶏など、全国で40以上の地鶏があります。
飼育方法については、日本農林規格において①在来種(指定38品種)の血液割合が50%以上、②ふ化から80日以上飼育、③28日齢以降、1m2あたり10羽以下、④28日齢以降平飼い(鶏が自由に運動できるように飼育)とすることが定められています。
畜産試験場では、1992年(平成4)に「北海地鶏」を開発し、2006年(平成18)には、飼育期間がさらに短く発育の優れた「北海地鶏Ⅱ」を開発しました。北海地鶏Ⅱは、名古屋種の雄を父に、大型シャモの雄(祖父)とロードアイランドレッドの雌(祖母)を交配した雌鶏を母に用いた三元雑種の鶏です。
北海地鶏Ⅱの鶏肉は、歯ごたえと、うま味成分であるイノシン酸やグルタミン酸が豊富に含まれるなど、その品質についてはレストランやホテル、飲食店など内外から高い評価をいただいています。
十勝管内の新得町では、特産品づくりの一環として北海地鶏Ⅱの生産が行われ、2009年(平成21)から“新得地鶏”という地域ブランドとして販売されています。
新得地鶏は、120日間、1m2あたり3羽以下とゆったりとした環境の中、飼育場所にそば殻を敷いたり、飼料にそばを混ぜるなど、「そばの町新得」の特長を生かした飼育が行われています。
また、町内と帯広市内の飲食店が連携し「新得地鶏フェア」を開催するなど、地域での地鶏の輪が着実に広がっています。
北海地鶏Ⅱは、在来種由来血液百分率が100%の地鶏です。
現在の生産は約1万羽ほどですが、消費者の健康志向の高まりなどを受けて、生産拡大が期待されています。畜産試験場としても、地域の皆様とともにPRなどの取組を進めていきます。
北海道の大地でのびのび育った「北海地鶏Ⅱ」を、是非ご賞味ください。
・北海地鶏Ⅱは、どこでいただけますか?
北海地鶏Ⅱの商品は、ホームページから購入することができます。
十勝・新得産北海地鶏Ⅱ(新得町商工会)
北海地鶏Ⅱは120日くらいでお肉になるため、卵は産みません。
・北海地鶏Ⅱはどうやって食べたら美味しいの?
北海地鶏Ⅱは旨味と脂がのっており、歯ごたえがあるのが特徴です。
次回は7月の予定です。