法人本部

きのこ

第6話   木々とともに生きるきのこたち

            道総研 林産試験場 宜寿次 盛生

 

  国内のきのこ類の生産はこの10年間増加傾向にあり、北海道は、長野県、新潟県、福岡県に次ぐ主産地となっています。北海道のきのこ類の生産額(推計)は約109億円(2009年)で、品目別では、「生しいたけ」「ぶなしめじ」「まいたけ」「えのきたけ」の4品目で全体の約9割を占めています。
これらは、ミズナラなど木材を分解して養分を吸収する性質を利用して、ハウスや専用施設で栽培され、一年を通じてスーパーなどで販売されています。

 

旬とされる秋にしか手に入らないきのこがあります。北海道のきのこ狩りで代表格の「ラクヨウ(ラクヨウキノコ)」などです。
「ラクヨウ」とは北海道の地方名で、標準和名は「ハナイグチ」です。ハナイグチは、北海道の山にたくさん植えられているカラマツの下(林床)だけに発生します。これは、その菌糸がカラマツの細根と「菌根(きんこん)」と呼ばれる共生体を形成して、養分等をやりとりするためです。植物(樹木)と共生しているため、人工栽培はほとんどできません。傘の色は黄褐色または橙褐色で粘性があり、傘の裏には管孔と呼ばれる微小な孔がたくさんあり、スポンジのようです。ぬめりを生かした汁物やなべ物、つくだ煮など和風料理によく合います。

 

こうした仲間に、マツタケやトリュフ、ポルチーニなど、おいしくて高価なきのこがあります。例えばマツタケはアカマツなどと共生しますが、自生するアカマツが少ない北海道では、ハイマツ(マツ属)やアカエゾマツ(トウヒ属)、トドマツ(モミ属)の林に発生することが分かっています。現状、道内のマツタケ山は手入れや管理が行われていないため、林産試験場では、北海道版マツタケ山づくりに向けて研究を進めているところです。


きのこ写真①.JPG また「香りマツタケ味シメジ」と言われるホンシメジは、1993年に滋賀県森林センターで栽培方法が開発され、99年に特許が開放されたことで、2004年から民間企業での生産が始まりました。
林産試験場では、2006年から道内企業との共同研究でホンシメジ栽培技術の改良に取り組んでおり、これらの技術を活用し、現在、道内生産者が実生産レベルでのホンシメジ栽培が行われています。

 

北海道産ホンシメジがみなさんの食卓に上る日が近づいています。

 

 

道総研林産試験場ホームページはこちらから

 

<参考資料>

・ 北海道に「マツタケ山」をつくろう!

・ 菌根性きのこホンシメジの菌床栽培

 新品種きのこ事業化モデル事業成果報告書

 

 次回は10月の予定です。