法人本部

小豆

第11話   魅惑の赤い穀物、小豆             

道総研 十勝農業試験場 田澤 暁子

 

写真:小豆子実  

北海道は、小豆の栽培面積で日本全体の76%、生産量は89%を占める最大の産地です。道内では十勝が全道栽培面積の54%を占める最大の産地であり、上川が12%、後志が9%と続きます。

小豆はかつて「赤いダイヤ」と呼ばれ、先物取引の花形でした。これは、冷害等により収穫量が数倍の幅で頻繁に増減し、単価が乱高下したことによります。

現在でも価格の変動はありますが、農地の改良と栽培技術の向上、そして冷害等に強い品種の育成により生産は安定し、収穫量の変動幅はかなり小さくなりました。「赤いダイヤ」も落ち着きを取り戻したようです。

 

 

 

十勝農試は1895(明治28)年に設立され、数多くの小豆品種を育成してきましたが、なんと言っても1981(昭和56)年に誕生した「エリモショウズ」が小豆品種のスーパースターです。

「エリモショウズ」はそれまでの品種と比べて多収で、何より冷害に強かったため一気に栽培面積が広がり、北海道小豆全体の87%を占めたこともありました。

和菓子業界からの評価も高く「北海道産エリモショウズ」は押しも押されもせぬブランドと言えます。現在、「エリモショウズ」の栽培割合は新品種の普及により4割程度になっています。

 

小豆は機能性成分の宝庫です。小豆に含まれるポリフェノール(カテキングリコシド、カテキン、ルチン)の抗酸化活性は豆類の中でも著しく高く、大豆の6倍にあたります。また、食物繊維はゴボウの2倍、他にも鉄分やサポニン、カリウム、ビタミンB群など、女性にはうれしい機能性成分を特に多く含んでいます。水溶性の機能性成分は水に溶け出すので、機能性成分を効率よく摂るには、ゆでこぼさずに「ぜんざい」にするか、煮汁を餅米に吸わせる「赤飯」等がおすすめです。

1月15日の小正月に小豆粥を献じる神事が広く行われているように、小豆は日本の伝統的な行事食としても重要です。小豆は穀類では珍しい鮮やかな赤色をしていることから、魔を祓う力があると考えられたためで、中国や韓国でも同様に考えられていました。現代でもめでたいときには赤飯を炊き、正月の鏡餅をぜんざいにして食べたり、また人生の節目などで小豆を使った和菓子を贈ったりするように、「特別な穀物」としての小豆は現代にも伝わっています。

 

 

2011年は未曾有の大災害を受け、農業や食について改めて考えさせられることが多い年でした。誇るべき北海道ブランドであり、古来から特別な力を持っているとされてきた小豆を積極的に食べて、2012年を良い年にしていきたいものです。

 

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◇小豆についてさらに詳しく知りたい方は◇
日本豆類基金協会
全国和菓子協会


次回は2月の予定です。