法人本部

牛乳

第14話   牛乳からチーズへ~白黒じゃないウシ~

道総研 根釧農業試験場 窪田 明日香

 

問題です。「だいこんと牛乳、水分が多いのはどちらでしょう??」

 

正解は、「だいこん」です。だいこんの水分は94.6%、牛乳は87.4%です。

牛乳の成分は、約87~89%が水分で、残りは脂肪やタンパク質、炭水化物、カルシウムなどの固形分です。脂肪やタンパク質は球状で牛乳中をプカプカと浮遊しています。このプカプカと浮遊している脂肪とタンパク質が光を乱反射させ牛乳を白く見せるのです。

 

牛乳中のタンパク質(以下、乳タンパク)は、牛乳からチーズを作るのに重要な役割を果たしています。乳タンパクの2割は水溶性タンパク質(ホエーまたは乳清といいます。)、8割は水に溶けないカゼインという物質で、このカゼインが酸や凝乳酵素の働きにより固まりチーズになるのです。

 

チーズの歴史は古く、紀元前3000年頃のメソポタミアの神殿壁画には、人々が乳製品を加工している姿が描かれています。また、古代インドの賛歌集にはチーズを進める歌があります。長い歴史の中で、その土地特有の風土や人々の知恵によって、地方色豊かな個性的なチーズが生まれたのです。チーズの種類は1000種類以上あるといわれ、チーズを作る乳(原料乳)は、ウシだけでなくヒツジ、ヤギ、水牛など多岐にわたります。

 

さて、酪農家が牛乳を搾るために飼っている牛と言えば、皆さんが思いつくのは白黒のホルスタイン種ではないでしょうか。ホルスタイン種は日本で飼育されている乳用種の90%以上を占めています。その他には、茶色くて小さいジャージー種、赤と白のエアシャー種、茶と白のガンジー種、灰褐色のブラウンスイス種などがおり、品種によって牛乳中の成分に特徴があります。

 

  当試験場で行った調査において、ブラウンスイス種は、1回に出す乳量はホルスタイン種に比べて少ないのですが、牛乳中の脂肪やタンパク質が高いという結果が得られています。牛乳消費が減退する中、チーズ作りに適している品種であることから注目が集まっており、近年、北海道においても飼育頭数は増加してきています。

5月下旬には放牧が始まります。鼻は黒いけど鼻の周りは白く、目はクリクリした灰褐色の毛色のブラウンスイス種が草を食んでいる姿が見られるかもしれません。

 

 

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次回は5月の予定です。