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いちご

第16話   北海道は今が苺の旬

道総研 花・野菜技術センター 木村 文彦

 

真っ赤でかわいらしい円すい形。そのまま食べてもケーキにのせても、甘酸っぱくて美味しい人気の果実。今回は、苺について紹介します。さて、苺の旬はいつでしょうか?北海道の一般的な苺狩りのシーズンは6~7月です。一方、クリスマスケーキでおなじみのように、苺は冬の果物というイメージも強いのではないでしょうか。また、夏でも苺がのったケーキが販売されています。

 

道総研HP掲載用の写真①.JPG 苺は、秋に日が短くなり、気温が低くなることによって、将来花となる芽ができ、休眠して越冬します。その後、春になって花が咲き実になります。このような特性を持つ苺は「一季成り性(いっきなりせい)苺」と呼ばれ、通常のライフサイクルでは春に果実をつけます。九州から東北地方にまで広がった加温ハウスの技術進歩により、苺の収穫時期が春から晩秋や冬にのびたことで、冬でも苺が食べられるようになりました。また、近年では、春や夏の環境条件でも将来花となる芽ができる「四季成り性(しきなりせい)苺」が実用化され、輸入苺の独壇場であった夏場でも国産苺が出回るようになっています。このように苺はもともと春に果実をつける作物ですが、栽培技術や品種の開発により季節感がなくなりつつあります。

 

それでは、北海道の苺生産はどうなっているのでしょうか?北海道で冬に苺を収穫するには、除雪や暖房に多くのエネルギーを必要とすることが問題となります。このため、現在は、秋に苗を植え、初春からハウス内で生育させて5~6月に収穫する春どり栽培が多く行われています。また、夏の高温は開花を減少させますが、北海道の夏は比較的冷涼であることから、「四季成り性苺」を夏から秋に収穫するつくり方も増えてきました。

 

道総研HP掲載用の写真②.JPG 

道総研では苺の品種育成に取り組んでおり、道南農業試験場が平成12年に、春どり栽培に適した品種「けんたろう」を育成しました。「けんたろう」は食味が良く、日持ちが優れているのが特徴です。北海道における「一季成り性苺」の作付面積の約4分の3を占めていますので、この時期はスーパーなどで見かける機会も多いと思います。この他にも、網走地域向けの「きたのさち」や、「四季成り性苺」品種の「なつじろう」を育成してきました。現在は、花・野菜技術センターで、「けんたろう」より収量が多い新しい品種の開発に取り組んでいます。
北海道は今が苺の最盛期です。週末に苺狩りを楽しんでみてはいかがでしょうか。

 

 

 

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次回は7月の予定です。