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ウニ

第17話   おいしいウニを食べたいな~!ウニのおいしさと食べごろの秘密             

道総研 中央水産試験場 秋野 秀樹

 

写真:身のよく入ったキタムラサキウニ 

北海道の夏の味覚といえば、ウニが代表的な食材の一つとしてあげられます。濃厚な甘みと鮮やかなオレンジ色がまぶしいエゾバフンウニ、さっぱりした味わいと明るい山吹色の身を持つキタムラサキウニ、どちらも北海道ならではの味覚といえます。新鮮なウニがたっぷりのったウニ丼を楽しみに北海道旅行にくる方も多いと聞きます。

 

さて、そのウニのおいしさの秘密はどこにあるのでしょうか。私たちが食べるウニの「身」と呼んでいる部分は「生殖巣」という組織で、卵や精子を作るために餌からの栄養をたくわえる働きがあります。

水産試験場において、キタムラサキウニを対象に、様々な餌を与えて生殖巣の色と味を調査したところ、コンブを与えたウニがもっとも美味かつ色もよくなり、甘みのあるアミノ酸であるアラニンやグリシンの含有量が多くなることがわかりました。

 

写真:コンブに群がるキタムラサキウニ 一方、他の海藻や魚肉を与えたウニでは、味が悪いだけでなく、生殖巣の色彩も劣りました。

また、海中養殖しているエゾバフンウニにコンブだけを与えて色合いや味を向上させ、市場の高い評価を得ている地域もあります。

北海道のウニのおいしさは、これもまた北海道を代表する水産物であるコンブによって支えられているのです。

 

 

ところで、道内にはウニの産卵時期や禁漁期と観光シーズンが重なってしまい、需要のある時期に生殖巣がやせた産卵後のウニしか手に入らない地域があります。この現状を解決するために水産試験場では、海洋深層水など低温海水を用いてウニ類の成熟・産卵時期をコントロールする技術の開発に着手し、エゾバフンウニについてはこれらの技術により、味や出荷時期を調整することが可能となりました。

 

現在はキタムラサキウニにも活用するための研究が、北海道区水産研究所や北海道大学との共同で進んでいます。これまでウニ漁の端境期には輸入ウニを使うことが多かったのですが、これからはオール北海道産のウニで観光客や道民の皆さんをおもてなしできるようになるかもしれません。

 

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次回は8月の予定です。