■研究の背景
　製品の選別や品質検査等を行う際に、製品が発する音を手掛かりにした評価が必要となる場合があります。 このような事例は、道内企業の製造・開発現場にもありますが、その殆どは自動化には至っておらず、 依然として熟練者の耳と勘に頼って実施されています。
　そこで本研究では、近年、機械・設備等の異常検出に有効な信号分析手法として着目されているウェーブレット 変換を利用することによって、熟練者の技能を代行する音質評価システムの実用化に向けた研究開発を行いました。

■研究の要点
１．熟練者による音質評価が行われている道内企業の事例調査
２．ウェーブレット変換を利用した音質評価技術の開発
３．道内企業の事例を対象とした音質評価実験
４．システムの実用化に向けた高速信号処理ボードの開発

■研究の成果
１．ウェーブレット変換を利用した音質評価技術を開発し、道内企業の製品に組み込まれて
　　いるボイスコイルモータを対象として適用実験を行いました。
２．実験の結果、熟練者が正常と判断した動作音と異常と判断した動作音との間に、特徴的な
　　差異を見出すことができました。(上図参照)
３．上記の差異をパターン識別することにより、熟練者と同様の良否判定を行える見通しを得
　　ました。
４．企業の製品開発工程で運用可能な音質評価システムの実用化を目指して、FPGA
　　(Field Programmable Gate Array)を搭載した高速信号処理ボードの開発を進めています。