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工業試験場

研究開発成果25/創造的先進技術

研究開発成果25/創造的先進技術

マイクロ化学プロセスによる有機合成法の開発
Highly Efficient Chemoselective Acylation with Water Microfluidic System

環境エネルギー部 松嶋 景一郎・浦 晴雄

■研究の背景
 持続可能な循環型社会の実現を目指して、環境・安全・健康へのリスクを最小にすると同時に、 経済的なプロセス設計を可能とする技術の開発が急務となっています。水を利用したマイクロ化学プロセスは、 コンパクトで安全であり、優れたエネルギー効率を有し、かつ環境に優しい技術であることから、早期の実用化が期待されています。
 本研究では、天然物などの機能を改質・向上させる反応として、化粧品や食品などの分野で利用されているアシル化反応について、 マイクロ化学プロセスの適用を検討しました。その結果、環境に有害な有機溶媒を必要とせず、従来法よりも高効率で反応を促進させる 新規合成プロセスを開発しました。

■研究の要点
1.水の物性(誘電率・酸解離定数など)の選定
2.マイクロ空間の設計
3.連続流通システムの構築
4.反応条件の最適化

マイクロ化学プロセスの概念
  アシル化反応の例   

■研究の成果
1.従来の有機溶媒中での合成法と比較し、高選択・高速で、かつ無触媒でアシル化反応を促進させる
  マイクロ化学プロセスを開発しました。
2.1級、2級アルコール及びフェノール類のO-アシル化は、96%以上の高収率でアシル化体を得ることが
  できました。また、3級アルコールについても、酸無水物の当量を調整することで収率を向上させること
  ができました。
3.N-アシル化反応は、吸熱・発熱反応に関わらず、アミン類およびアニリン類について91%以上の高収率で
  目的のアシル化体を得ることができました(Lab on a Chip, 2009, 9, 2877)。

(独)産業技術総合研究所 東北センター
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