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工業試験場

研究開発成果17/生活関連技術

研究開発成果17/生活関連技術

低温環境におけるストレスおよび作業性評価技術
Evaluation of Dexterity and Human Stress in a Low-Temperature Environment

製品技術部  中島 康博・前田 大輔・吉成  哲
ものづくり支援センター 桑野 晃希
■研究の背景
 生鮮食品の加工現場では鮮度を保つために、作業者は低温にさらされた状態で魚さばきや皮むきといった 細かい作業を長時間行います。ジェットヒータなどのスポット暖房を配置したり、下着を何重にも重ね着するなどの 自衛策を講じても、手指や足部の冷えによって心身ともに高ストレス状態での作業を強いられます。 手足や関節の冷えは巧緻性(手指の器用さ)を低下させるだけでなく、労災につながるおそれもあります。 そこで本研究では、低温下における作業性向上とストレス軽減を目指して、低温環境下における作業性の評価を行いました。 足部や腹部といった手の作業性を妨げない部位を加温した時の巧緻性を計測するとともに、 皮膚温や筋活動などとの相関性を検証しました。

■研究の要点
1.5℃環境-90分暴露時のストレスの評価
2.パーデューペグボード(ピン立てボード)による腹部・足部加温時の手指巧緻性評価
3.表面筋電計による低温下の上肢筋活動評価
4.夏季・冬季の季節差が作業性に及ぼす影響の検証


    5℃環境下における手指巧緻性試験             足部・腹部加温時の巧緻性スコア変化        

■研究の成果
1.腹部・足部の加温により、手指の巧緻性低下が抑制されることがわかりました。
2.足部の加温により、ストレスや温冷感が改善する傾向が現れました。
3.前腕・上腕筋の筋電位の中央周波数の低下が抑制されました。この周波数は、筋温の低下で減少することから、間接的に筋温低下の抑制が確認されました。
4.夏季では、冬季に比べ深部体温が0.5℃低下しました。この結果から、夏季は冬季よりも作業者の保温を強化する必要があることが示唆されました。

北海道大学
お問い合わせ先
ものづくり支援センター工業技術支援G
TEL:011-747-2345
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