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工業試験場

研究開発成果19/環境関連技術

研究開発成果19/環境関連技術
液晶パネルからのインジウムの回収
Recovery of Indium from Waste Liquid Crystal Display Panel
環境エネルギー部   富田 恵一・若杉 郷臣・髙橋 徹・長野 伸泰

■研究の背景

廃電化製品には多くのレアメタルが使用されていますが、近年の資源保有国の経済発展に伴う国際価格の高騰や輸出規制などから、レアメタル資源の安定確保は極めて難しくなっており、廃電化製品は「都市鉱山」として急速に期待が高まっています。その中で、薄型テレビが家電リサイクル法のリサイクル品目に指定され、液晶パネル排出量の急増が想定されています。パネルに使用されているインジウムも貴重なレアメタルの一つであり、現在、全国的にも多くの研究が進められていますが、廃製品中の液晶パネルを対象とする回収技術は実用化されていません。そこで、廃液晶パネルからのインジウムの回収基礎プロセスを構築することを目的として各種検討を行いました。

■研究の要点

  1. 酸浸出回収を阻害する樹脂モールド等の分解除去を目的とした液晶パネルの仮焼条件の検討
  2. 仮焼液晶パネルからのインジウム浸出条件の検討
  3. 浸出液からのインジウム沈殿回収条件の検討

■研究の成果

  1. インジウムは、液晶パネルを構成している樹脂モールドされた2枚のガラスの内面に存在するので、後段の酸浸出処理のためガラスを融着させずに樹脂等の有機物を炭化する最適仮焼条件を明らかにしました。
  2. 仮焼した液晶パネルからのインジウム最適浸出条件について明らかにしました。
  3. 酸浸出したインジウムは、pH6~7の条件で水酸化物として、ほぼ100%沈殿回収できることが分かりました。
  4. 構築したプロセスにより回収した粗酸化インジウムには、すずおよびりんが不純物として含まれますが、パネルに含まれるインジウム量のうち90%以上が回収され、液晶パネル形態に対し、1/1,300の質量まで減容化することができました。

 

※本研究で使用したICP発光分光分析装置はJKA補助事業により整備されました。

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