第11話 寒中コンクリ-ト

寒中コンクリ-ト (H26.2)

道総研北方建築総合研究所 谷口 円(たにぐち まどか)

北海道は今、冬真っ盛りです。真冬に雪が舞い、水が凍ることは、北海道に暮らす我々には当たり前のことかと思います。そのような中、街中では、夏と変わらず沢山の工事中の建物を見かけます。氷点下で施工されるコンクリ-トは凍ってしまうことはないのでしょうか?今回は、外気温が氷点下となる中でもコンクリ-トを施工する方法である「寒中コンクリ-ト(工事)」についてご紹介します。

  コンクリ-トやモルタルのような材料は、水とセメント、砂利や砂を練り混ぜて作られ、初めは柔らかく、固まるまでに時間がかかる材料です。沢山使われている水は、温度が0℃以下になれば、当然コンクリ-ト中でも凍結する場合があります。特に、練り混ぜ直後のコンクリ-トが凍結すると、期待されるほど強度が伸びず、所定の強度に達しないこともあります。これが「初期凍害」と呼ばれる現象の一つです。これを防止するためには、コンクリ-ト中の水分を凍らせないことが必要不可欠で、囲いの設置、保温などが必須となります。冬の街を歩くと、囲いをして建てられている建物をよく見かけるのもそのためです。中では保温が行われ、コンクリ-トが打ち込まれた日は、凍結しないよう夜通しで対策が取られます。

コンクリ-トの強度は、セメントと水が反応して糊の役割をし、砂利や砂を固めてくれることで発現します。この反応は、化学反応ですので、温度の影響を強く受け、低温では遅くなります。そのため、強度増進がどの程度遅れるのかを把握し、遅れる分の強度を上乗せしてコンクリ-トを発注する、必要な時期に所定の強度を得るために、最低限保たねばならない温度条件を予想し、管理するなどの対策が必要となります。

  北方建築総合研究所は、日本では寒冷地にある唯一の建築の研究所であり、道内の実務者や大学等と連携して、1年を通して工事を行う上で問題となる寒中コンクリ-トに関する諸問題の解決に長年取り組んできました。これまで、工事現場での適切な囲いの方法や必要な加熱量の算定方法の提案を行い、コンクリ-ト強度増進に低温が与える影響を明らかにしてきました。これらの成果は、建築学会発行の寒中コンクリ-ト施工指針に活用され、効率的な施工のため、実施工現場で広く利用されています。

街中で工事現場を見かけたら、冬期の工事には、当研究所の成果が活用されていることを思い出していただけると幸いです。今後も寒中施工のさらなる合理化、環境負荷低減を可能とする施工方法等の研究開発に取り組んでいく予定です。



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