第14話 黒毛和牛の種雄牛

北海道の黒毛和牛の改良を担う種雄牛(しゅゆうぎゅう)「勝早桜(かつはやざくら)5」(H26.5)

道総研畜産試験場 宝寄山 裕直(ほうきやま  ひろなお)

北海道の牧場をイメージするとき、白黒のホルスタインを思い浮かべる方が多いと思われます。しかしながら、霜降りの高級牛肉で知られる黒毛和牛においても、北海道は約95,000頭(繁殖雌牛数:子牛生産のための雌牛数)と、鹿児島県、宮崎県に次ぐ、全国3位の大産地となっています。黒毛和牛の歴史が浅かった北海道が、大産地になったのは、技術的な側面から見れば、牛を飼う技術の向上に加え、牛の能力の改良によるところが大きいと考えられます。

黒毛和牛の生産者は、所有する雌牛に雄牛(種雄牛(しゅゆうぎゅう))を交配して子牛を生産し、9か月齢まで育成してその子牛を販売する繁殖経営と、その子牛を購入して29か月齢近くまで肥育し、枝肉(えだにく)を販売する肥育経営、その両者を行う一貫経営に分けられます。北海道では、生産者の9割近くが繁殖経営であり、北海道で生まれた子牛の多くが道外で肥育され、各地のブランド牛となっています。

そのため、北海道において改良すべき牛の能力は、次の2つに分けられます。その1つは、高品質な牛肉をたくさん生産する「産肉(さんにく)能力」で、肉用牛として当然求められる能力です。2つ目は、発育が良く健康な子牛を効率的に生産する「種牛(しゅぎゅう)能力」で、繁殖経営が多い北海道ではこの能力の重要度が高くなっています。

 

肉用牛の改良は、種雄牛と雌牛の両方で進められ、車の両輪のように互いに補完しあっています。特に、ほとんどの子牛が人工授精で生産される現在、一頭の種雄牛から多くの子牛を生産することが可能であり、優良な種雄牛の存在は、改良の大きな"たね"となっています。過去には20万頭以上の子牛を持つ、たいへん子だくさんの種雄牛も存在しました。

勝早桜5の写真 

今回、(一社)ジェネティクス北海道と畜産試験場が連携して開発した道産種雄牛「勝早桜(かつはやざくら)5」は、前述の2つの能力が大変優れており、「産肉能力」だけではなく、「種牛能力」の改良にも貢献するものと期待しているところです。今後、「勝早桜5」により生産者の雌牛改良が進み、そこから新たな種雄牛が生まれ、さらにそれが生産者の雌牛改良に貢献するというサイクルが続けば、北海道における改良は加速していくものと思われます。

北海道もだいぶ暖かくなり、屋外で焼き肉をする機会も増えると思われます。その際は是非、道産の黒毛和牛肉もご賞味ください!

【写真:黒毛和牛種雄牛「勝早桜5」】

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