第18話 子どもの見守り活動

効果的で持続可能な地域活動に向けて~子どもの防犯活動をとおして~(H26.10)

道総研北方建築総合研究所 松村博文

東日本大震災では地域コミュニティの重要性が再確認されました。地域コミュニティを支える自治会活動は全国的に低迷しています。その原因として、活動内容が現在の課題に対応できていないことがあげられます。そこで、地域に役立つ活動のためには、地域課題を的確に把握し、効果的・効率的でやりがいのある活動を持続する工夫が重要になります。

当所が支援している子どもの見守り活動から地域の絆づくりを目標にした地域活動である、旭川市近文地区の「近文あい運動」でのさまざまな工夫をご紹介します。

■犯罪、交通事故のリスクの見える化
小学校全児童へのアンケート調査により、犯罪や交通事故の危険遭遇箇所をGIS(地理情報システム)でデータベース化し、同じ場所で遭遇した件数により危険度を示すマップを作成し、見守り場所や子ども110番の設置場所選定などに活用しています。また、集団下校時に1人になる区間をGISにより把握し、見守り場所に反映しています。

■生活道路の暗がり状況の見える化
夜間の生活道路の照度を計測する「くらがり調査*1」の結果をGISでデータベース化し、町内会の街灯整備に活用する他、門灯や玄関灯の点灯効果を社会実験で確認した上で、玄関灯点灯運動を実施しています。

 

■成果の見える化
子どもの危険遭遇状況の見える化のため、活動開始以前から経年でアンケート調査を実施し、交通事故、犯罪について、活動後に危険遭遇件数が大幅に減少したことを明らかにしました。この成果の見える化により、マンネリ化しやすい防犯活動で、参加者が高いモチベーションを継続できるとともに、保護者の活動に対する感謝の気持ちが生まれる効果が得られます。

■地域活動に科学の力を
これら以外にも、犯罪抑止に有効な生活道路の人目の量を把握する「みまもり量調査*2」で冬季は除雪による人目の量が大きいことを明らかにし、下校時の除雪運動への展開や地域コミュニティの程度を、同じ町内会の子どもの顔の認知率により定量化すること、高齢者の見守り活動による歩数増加による健康増進効果の把握などを行っています。 こうした地域の課題や活動成果の見える化・定量化などにより、効果的でやりがいのある持続的な地域活動が可能になります。

当研究所では、近文地区の他、北海道環境生活部や道警と連携して、北海道犯罪のない安全で安心な地域づくり条例での防犯活動推進地区(毎年、3か所)においても同様の地域活動への支援を行っています。

*1,*2 独立行政法人建築研究所発行の「防犯まちづくりのための調査の手引き」に基づき実施。

旭川市近文地区“近文あい運動”の取り組み

道総研北方建築総合研究所のホームページ

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