第19話 日本海のサクラマス

日本海のさかな、サクラマスを増やすため(H26.10)

道総研さけます・内水面水産試験場道南支場 竹内 勝巳


写真:繁殖期を迎え、桜色に染まったサクラマス 

サクラマスは、サケやカラフトマスと同じサケ科サケ属の魚です。桜の咲く春に漁獲されるものは脂の乗りが良く、富山の鱒寿司の原材料など高級食材として高値で取引されています。河川生活の短いサケと違い、1年半もの長い間、ヤマベ(幼稚魚期の呼名)として川で過ごし銀色に体を変化させて海に降ります。そして、わずか1年後の春には1kgを超える親となって再び生まれ育った川に戻り、上流域まで遡って初秋に産卵します。日本海地域において、サクラマスは冬から春にかけての重要な漁業資源であり、民間が主体となって古くからふ化放流に取り組んできましたが、漁獲量は減少傾向にあります。

 

【写真:繁殖期を迎え、桜色に染まったサクラマス】

八雲(やくも)町熊石(くまいし)にある道南支場では「海から川に帰ってきた親魚(回帰親魚)を捕獲・採卵した種卵(遡上系)」に加え、「淡水池で飼育して親まで育てて採卵した種卵(池産系)」を生産し、日本海道南地域の民間増殖団体へ種卵を移植して増殖事業を展開してきました。

 

サクラマスの放流方法には「春に河川の上流域に稚魚で放流する方法」と、「海に降りる銀毛ヤマベ(スモルト幼魚)まで1年半かけて育てて放流する方法」があります。
道南支場では、効果的・効率的な増殖技術を開発するため、漁業者や民間増殖団体の方々と協力して、熊石を流れる見市(けんいち)川を実験河川として、毎年20万尾のスモルト幼魚を放流し、回帰親魚のモニタリング調査を行ってきました。
その結果、放流魚は放流河川周辺だけでなく広い海域で漁獲されていることや、漁獲資源として放流魚以外の天然魚(自然産卵の魚)も大きく貢献していることが明らかとなりました。また、遡上系種苗は池産系より回帰率がやや高い傾向が認められました。

サクラマスの生息環境の問題点として、河川を横断して設置している工作物による生息域の分断や河川改修など、治水や利水事業による生息環境の変化があげられます。
檜山管内においても、一定の役割を終え、必要がなくなったダムの通水部にくし(櫛)状のスリットを入れるなど、回帰親魚の遡上障害を解消するための取り組みが進められています。
また、漁業者、一般遊漁者、行政機関が協力して、土砂や流木で機能しなくなった魚道を清掃したり、ダム下流に滞留して遡上できないサクラマス親魚を上流へ放流することも行われています。

健全な河川環境の象徴とも言えるサクラマス、放流によるこれまでの増殖事業に加え、池産系から遡上系への増殖種苗の転換や、河川環境の保全や復元により、日本海地域のサクラマス資源が回復するものと確信しています。

 

道総研さけます・内水面水産試験場のホームページ

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