第27話 トドマツ人工林資源の持続的利用

トドマツ人工林資源の持続的利用~新しいトドマツ人工林施業手引~(H27.7.31)

道総研林業試験 原 秀穂

北海道には豊かな森林があります。森林は環境や人にやさしい資源として注目されています。林業試験場では長年にわたり道内人工林資源の過半を占める豊富な資源量のトドマツの研究をしています。

トドマツ(椴松)は北海道の郷土樹種です。モミの仲間で、円錐形の樹冠に一年中、濃い緑色の葉を着けます。通常、高さは25~30m、幹の太さは30~50cm程度まで成長します。クリスマスツリーとしてもお馴染みの木ですが、主な用途は建築材、土木材、梱包材、家具・器具材、パルプ材です。最近では空気浄化剤や芳香剤などにも利用されています。道内では最も普通にみられる高木の常緑針葉樹で、低地から深山まで広く自生しています。人が苗木を植えて育てたトドマツ人工林も道内一円にあります。北海道の森林の約3割に当たる150万haが人工林となっていますが、その約半分はトドマツです。

しかし、近年、世界の木材消費量は長期的に増加する傾向を示しており、日本では外材の輸入量が減少しています。そのため、国内の人工林資源をより有効に持続的に利用することが期待されています。

木材を計画的に生産するには、木や林の生長パターンを把握する必要があります。この生長パターンは樹種により異なる上、気象や土壌など環境の影響を強く受けます。育て方によっても変化します。さらに、材質を劣化させたり、木を枯らしたりする病虫獣害も考慮する必要があります。

そこで、林業試験場ではこれまでの研究蓄積に加え、北海道水産林務部と各(総合)振興局の協力のもと新たなデータの収集や調査を行い、「トドマツ人工林の施業手引」を刷新しました。この手引きにはトドマツ人工林資源の持続的・安定的利用を可能にするため、量的な収穫予測技術を改善するとともに、低コスト化に伴う植栽本数の変化などへの対応、長伐期化など多様な施業、トドマツの材質を劣化させる根株腐朽への対策を組み入れています。道内の林業関係者だけでなく、森林・林業に関わる方々に広く活用され、今後の木材生産や森林の公益的機能の向上の一助となれば幸いです。

「トドマツ人工林施業の手引」(2015)
「トドマツ人工林における保残伐施業の実証実験」 
   ※林業試験場では、人工林における公益的機能と効率的な木材生産の両立を目指し、
      北海道、森林総合研究所北海道支所、北海道大学農学部森林科学科との共同で
      大規模実証実験を行っています。
林業試験場のホームページ

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