第34話 道産水産物の脂の乗りを瞬時に知る

道産水産物の脂の乗りを瞬時に知る(H28.2)

道総研中央水産試験場    小玉 裕幸    

近年、消費者の水産物に対する高品質志向は、ますます強くなっています。こうした中、水産物卸売業界では、鮮度や脂の乗りを付加情報としてリアルタイムに表示することにより、その品質的な優位性を消費者に直接アピールし、販売促進に繋げる取り組みが試みられています。しかし、現状では、鮮度指標として用いられる数値「K値」や「脂質含量」の測定に1日以上を要するため、業界からは、現場で簡易に測定できる方法の確立が求められています。

水産試験場では、水産卸売市場等で扱われる生鮮魚を対象とし、現場対応型の測定装置により鮮度の指標であるK値および脂質含量を短時間で測定する手法の開発に取り組みました。今回は、近赤外分光測定機を用いた、非破壊分析(食品などの対象物を、傷つけることなく分析すること)による脂質含量の測定についてご紹介します。

測定にはポータブル型近赤外分光測定機を使用します。水産物に向けて照射した近赤外線は、水産物の内部まで入った後、脂質等の成分により吸収されて外に出てきます。出てきた近赤外線のデータ(波長、強度)と、化学分析で測定した実際の脂質含量から関係式を導き出します。この関係式を入力した近赤外分光測定機から水産物に近赤外線を照射すると、脂質含量が瞬時に分かります。

水産試験場の取り組みでは、北海道産のホッケ、サメガレイやシロサケを対象として、近赤外分光分析による各魚種の脂質含量の測定について検討しました。その結果、対象とした3魚種とも、非破壊により、概ね3%以内の誤差で脂質含量の測定が可能となり、ホッケでは誤差が1.5%程度と特に良好でした。北海道内の水産卸業者では、近赤外分光測定機によりホッケの脂質含量を計測し、脂質含量10%を境に差別化を行う試行試験を実施しています。

食品の成分表示による品質保証はすでに果樹等で実施されており、水産物においても近い将来、実用化が予想されます。また、近赤外分光測定機のような非破壊分析に関わる機器については、軽量化や低価格化が進められてきて、生鮮魚を直接取り扱う漁協や水産物卸売業界などで導入される機会が増えていく可能性も考えられます。今後は、水産物の非破壊分析の精度向上や他魚種への応用を課題とした取り組みが必要だと考えています。

中央水産試験場のホームページ

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