鮭節

第26話   逆転の発想から生まれた鮭節

道総研 食品加工研究センター阿部 茂

 

皆さん「鮭節(さけぶし)」をご存じですか。鮭節は日本の伝統的調味料である鰹節の“サケ”バージョンで、北海道産のサケを原料にして道内の数カ所で製造されています。最近では削り節だけでなく、ダシとしてラーメンや茶碗蒸しなどの料理、また、ふりかけや佃煮などの食品にも使用されるようになり、用途が少しずつ広がってきています。今回は鮭節開発の経緯とその特性についてご紹介します。

 

鮭節.jpg  鰹節などの節類は原料の油分が製品の品質を左右します。鰹節にするための「原料カツオ」の油分は少ないほど好ましいとされ、油分の多い鰹節は「だし汁が油臭い」、「品質が悪くなりやすい」などの理由から敬遠されています。サケは産卵が近づくと筋肉中の油分がイクラや白子に移行するために筋肉中の油分は減少します。油分の減少は普通であれば風味の低下や品質劣化ため価格の下落につながりますが、鮭節製造の場合には油分の減少はむしろ好都合なのです。そのため、有効活用が求められている採卵後のサケは鮭節の原料として最適であり、まさに逆転の発想からできたエコロジーな食品なのです。

 

鮭節には鰹節や鯖節などとは異なる特長があります。鮭節には鰹節など他の天然調味料と比較して風味を決める遊離アミノ酸が2倍以上あり、うま味を感じるグルタミン酸やアスパラギン酸は鰹節の3倍以上、甘味のもととなるグリシンやアラニンはホタテやエビの2倍以上含まれています。そのため、鮭節を口に入れた瞬間、「うま味」、「甘味」をグッと感じることができます。鮭節は卵製品や大豆製品との相性が良いと言われており、今後、利用は広がっていくと思われます。

 

鰹節は料理や食品の土台となる日本古来の伝統的な調味料ですが、道内では製造されていません。そのため、鰹節を使わずに全て北海道産の素材で料理や加工食品を作ることは困難でした。しかし、鮭節の登場によりオール北海道産のソバや明太子を作ることが可能となり、飲食店や加工食品会社では鰹節の代わりに鮭節を利用することで、北海道らしさをよりPRできる様になりました。また、鮭節は既存の天然調味料とは異なる風味を持っているため、商品や製品に新たな風味を加えることができ、新製品や新たな料理メニューの開発にもつなげることができます。

 

鰹節は300年の歴史があると言われております。これに対して鮭節は生まれたばかりですが、北海道の新たな定番食材として認められるよう、今後も研究を続けていきます。

 

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