道総研セミナー
「北海道のニシンを増やせ!そしておいしく食べよう!」

道総研が日々取り組んでいる研究の中から、今回は「ニシン」をテーマに、中央水産試験場で行っている研究をご紹介し、約70名の方々にご参加いただきました。

  • 日時 平成30年10月20日(金) 15:30~16:30
  • 場所 紀伊國屋書店札幌本店 1階 インナーガーデン(札幌市中央区北5条西5-7sapporo55)
 

こんなお話をしました

講師:道総研 水産研究本部 中央水産試験場
資源管理部 主査 山口 浩志
    加工利用部 研究主幹兼主査 武田 忠明

「北海道のニシンを増やせ!」

 明治時代に年間漁獲量約100万トンを記録した北海道のニシンは,戦後間もなくいなってしまいました。その原因は,1.「乱獲」、2.「海洋環境の変化」、3「森林伐採」という説が挙げられていますが、現在のところ、2の水温の上昇による「海洋環境の変化」が有力な説となっています。

 いなくなったニシンが2000年以降復活しつつあります。その復活しつつあるニシンは、石狩湾を主に産卵場とする「石狩湾系群」であり、かつてたくさん獲れたニシンである「北海道-サハリン系群」と区別されています。1990年代は100トン以下であった漁獲量が、2000年代に入って急増し、2010年以降は1,500~2,500トンと安定的に高い水準で推移しています。最近年の2017年度には約2,500トンと「石狩湾系群」としては過去最高を記録しました。

 「石狩湾系群」のニシンの資源が増えた要因は、大きく分けて2つ挙げられます。1つは、人間でいうベビーブームが2001年以降に2~3年おきに発生したが挙げられます。もう1つは、漁業者による資源管理の取り組みです。小さい魚を取り残すために漁業者は、刺し網の目合を拡大することを実践しました。目合を1.8寸から2.0寸以上に拡大することによって、まだ一度も卵を産んでいない1歳魚は網目をすり抜けることができます。さらに、3月いっぱいまである漁期を早めに切り上げる取り組みも実践しました。ニシンの産卵来遊の特性として、1月10日から始まる漁期が、2月、3月と進むにつれて、来遊するニシンの年齢が若齢化していくことがわかっています。その特性を利用して、漁期を早期に切り上げることによっても若齢の小さいニシンを獲り残すことができるようになりました。

 以上のように、北海道のニシンは自然に増えるきっかけを上手に生かし、資源管理を行ったことによって安定的な漁獲量を維持できるようになりました。

「ニシンをおいしく食べよう!」

 かつて大量に漁獲されていたニシンは、一部、鮮魚や数の子、身欠き鰊として食用に流通する一方で、約八割は「鰊粕」に加工され肥料とされていました。

 水産試験場では、設立以来ニシンの製造試験や製品品質研究に取り組んできましたが、近年では身欠き鰊の生産量の減少に対応するための新たな製品開発に取り組むことになりました。

 消費者が魚を購入しなくなった原因に、骨があることを嫌う消費者の嗜好の変化があることに着目し、「美味しく」、「手軽に」、「気軽に」食べられる製品開発に取り組みました。

骨軟化と美味しさを両立するため、高温高圧処理条件の検討や品質保持試験、試作製造、試食評価を繰り返し、骨ごと食べることができ、電子レンジで調理可能で、かつ、美味しい「やわらか一夜干しにしん」の製品開発に成功しました。この製品では、塩味だけでなく現在、醤油味、明太子味、スモークなど様々な調味品についても開発中です。



講演資料

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案内チラシ

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