会場からでた質問にお答えします。

ヒグマの生態 

 

質問内容

回答

ヒグマの通ったあとはにおいなど残っていますか?

甘くすえたような独特の体臭があり、寝たり体をこすりつけたりした場所にはそのようなにおいが残っていることがあります。ヒグマが近くにいたり、通った直後であれば、においがすることもあります。

もし犬と一緒にいたらヒグマは犬を襲いますか?

クマ猟などのために訓練したイヌでない限り、イヌを連れて山林を歩くのは危険です。イヌが吠えることでクマが逃げることもあるでしょうが、逆に興奮したクマに攻撃される可能性もあり、飼い主さんにとっても危険です。

ヒグマはどういう時に吠えたりうなったりしますか?

緊張したときや威嚇するときに声を出します。人間に対しては、それ以上接近したくないために唸ることが多いようです。

苫前の三毛別の熊嵐の事件のように、一度人を襲ったことのあるクマは何度も人を襲うものでしょうか?

一度人を攻撃したクマが、必ずしも何度も人を襲うわけではありません。ただし、人間の所持する食べものの味を学習した個体は、人と美味しい食べ物を強く関連付けて人から奪おうとするようになります。行動がエスカレートすると、何度も人を襲って食べ物を奪うようになることもあります。苫前の事例も、その前に人家の軒先に干してあったトウモロコシを盗み取る行動が観察されており、そのことを放置した結果、ヒグマの行動がエスカレートした可能性があります。

熊が生息すると自然環境にどんな貢献がありますか?

ヒグマは基本的に雑食性で、自然界の様々なものを利用していることから、その影響は多岐に及ぶことが予想されますが、残念ながら現時点ではあまり研究が進んでいません。しかし、北海道が含まれる環北太平洋の地域では、遡上するサケ・マスをヒグマが補食することで、海からの栄養素を陸に引き上げる役割が注目されています。また、果実を食べることによって種子を広範囲に散布する役割を果たしている可能性があります。

クマが人家のゴミに手を出さない・エサを探さない場合、それは山里にエサが豊富だからなのでしょうか?人家のゴミを食べるという学習をしていないからなのでしょうか?

山中における食物不足は人家の近くに来る重要な要因の一つですが、親から別れた若グマが優位な個体を避けて行動した結果、人間の居住域近くに移動することもあります。一方、メスのヒグマは行動範囲が狭いため、中には一生を山林内で過ごすものもいます。ヒグマが人家のゴミに手を出すようになるには、人家の近くに来る、そこでゴミを見つけて食べる、ゴミの味を学習して繰り返す、という経過をたどるものと考えられます。

北海道でクマが生息しない山はありますか?

離島や函館山など、完全に孤立している場所を除き、森林で覆われている北海道のほとんど全ての山域にヒグマが生息していると考えて良いと思います。

捕獲グマの推定年齢を知りたいです。

捕獲されたヒグマは、歯根部にできる年輪を数えることで、かなり正確に年齢を調べることができます。これまでの捕獲個体の年齢査定結果から、若いクマが多く捕獲されていることや、メスに比べてオスの方が多く捕獲されていることが明らかになっています。

秋におけるドングリ以外のエサ利用について知りたいです。(どんなものをどれくらい)

サルナシやヤマブドウといった果実類も好んで食べます。また、ミズキやウドの果実もよく利用します。どのぐらい食べるかについては、調べた例がありません。

1年に1頭のクマが食べるドングリの量は?
1年にミズナラ1本にできるドングリの量は?

残念ながら、野生のヒグマがどれだけドングリを食べるかを調べた例はありません。
ミズナラは豊作年には林縁木や孤立木では1本あたり40000個、林内木で10000個程度のドングリがなります。

地域、個体によってもちろん違いはあると思いますが、スイートコーンとデントコーンでは、スイートコーンの方が被害が多いのでしょうか?ヒグマにとって食味のよい食物に何か特徴はありますか?

作付け面積はスイートコーンよりもデントコーンの方がはるかに広いため、被害の頻度もデントコーンが多いということになります。コーンやビート、果実類への被害が多いことから、甘いものが好物と考えられます。

札幌市では8月下旬の藻岩下、真駒内での出没、市街地での目撃が大きく報道され、その印象が強いですが、同じ時期に常磐、滝野及び西岡、白旗山にて出没・目撃があります。食べ物の端境期であるというのは察しがつきますが、なぜ同時多発的に出没があるのでしょうか。食べ物の他に何か理由が考えられますか?また、山の関係と生息数はどのようになっているのでしょうか?

札幌市周辺では、ヒグマの分布が拡大していると考えられています。そのために、あちこちで同様のことが発生していると思われます。しかし、正確な生息数や動向は把握できていません。

ヒグマの生息数 

 

質問内容

回答

札幌市のヒグマの個体数はわかりますか?さらに豊平峡ダム、定山渓ダムの水系別にどの程度いるのかが知りたいです。具体的なデータが無ければ推測して下さい。

道総研の研究で平成22年に実施した調査では、定山渓の国有林内で少なくとも23頭のヒグマが識別されています。ただし、これらの個体は札幌市に隣接する市町村と行き来していると考えられ、正確な生息数や動向は把握できていません。

北海道のヒグマの生態数は予想できているのですか?また、現在の地域別生息数と、現状で考えられる適正生息数はそれぞれ何頭ぐらいでしょうか?
春グマ駆除をやめて増加傾向でしょうが、生息数が増えすぎてエゾシカのように、悪者扱いにならない事を願います。

北海道が1990年代に実施した狩猟者へのアンケート調査では、およそ2000頭から3000頭程度生息しているとされています。生態学的には、現時点では収容量以下と考えられますが、人間社会が容認できる水準がどこにあるかで「適正生息数」は決まると思います。農作物や人に対する被害を最小限にする事ができれば、多くのヒグマが生息できると考えられます。

ドングリの結実と捕獲数の関係は理解できますが、ヒグマの個体数の増加との関連はどのように考えていますか?

個体数は増加している可能性が考えられますが、正確な動向や数については分かりません。また、ドングリの結実状況と個体数の関係について調べた例はありません。

どのように個体数を調査把握しようとしているのでしょうか?(狩猟数では実態を把握できるとは思えないのですが)

過去からの捕獲数の推移に基づくコンピュータープログラムを用いた推定手法に、数カ所のモデル地域における精度の高い生息密度調査結果を取り入れて、個体数を把握することを計画しています。

ヒグマの捕獲 

 

質問内容

回答

捕獲したヒグマはその後どうなりますか。

被害を防止するために捕獲する場合は、基本的に殺処分となります。

捕獲されているのにまた戻ってくるのは学習能力が低いからですか。逆に食べ物の欲が強いのでしょうか?

捕獲によるストレスよりも、食べ物に対する執着の方が上回った場合に戻って来ること考えられます。クマの学習能力は非常に高いことがわかっています。

学習能力が高いことを生かして人里に近づけさせないようにすることは可能ですか?

人里に近づいても何もおいしいものが手に入らないことを学習すれば、クマは近寄らなくなると考えられることから、誘引物の適切な管理が重要です。電気柵に一度でも触れたクマは、そのことを学習することによって電気柵に近づかなくなると考えられていますので、それを利用する方法もあります。

射殺以外の手段として、クマが人里を嫌うように学習させて森に帰す方法がありますが、道内では実施していますか?今後そういった方法をとることは可能ですか?

こうした方法は道内では知床で一部のヒグマを対象にして実施した事例があります。道内で実施するには、実施するための体制(対応する人材)や捕獲後に放す場所の確保などの課題があり、こうした課題を解決する必要があります。

人里を忌避するよう学習させる方法として、クマに痛みを与えることは有効ではないという話もありますが(ヨーロッパでは)、どうするのが適当なのですか?

いわゆる「お仕置き放獣」のことと思いますが、クマに逃げ場のないオリの中などで痛みを与えることは不適切と考えられています。クマがオリから出て逃げる場所を確保した状態で、学習付けを行うべきでしょう。

人間を襲った熊を駆除しなければならない理由は何ですか?

ヒグマに対する地域社会の受け止め方を考慮すれば、人身被害をもたらした個体を放置することは社会に不安をもたらし容認されないものと考えます。

趣味でヒグマを狩るハンターがいるとおっしゃいましたが、それは許されるのでしょうか?

ヒグマは狩猟の対象鳥獣に指定されているため、狩猟期間(北海道では101日~131日)内であれば狩猟免許所持者が捕獲することができます。

数年おきに許可捕獲頭数が多い年がくる 理由と農業被害の増加、ブナ類の結実の関係は?

今さんが発表したように、秋の捕獲数とブナ類堅果の豊凶との同様の関係が、渡島半島地域以外でも見られるかもしれません。しかし渡島半島地域以外ではデータがなく実証されていません。

 狩猟とクマの行動パターン 

 

質問内容

回答

春熊駆除を行っていた時と、その後行わなくなった今までとの間で、熊の数と行動パターンには変化がありますか。ある場合、どのように変化しましたか。

人間を避けないヒグマが増えていることが、多くの地域で指摘されています。

エゾシカの増加に伴い、冬季にエゾシカを食べることで冬眠しなくなったクマがいるようですが、駆除によりエゾシカが減った場合、そのようなヒグマはまた冬眠するようになるのでしょうか?エサを求めて冬季もうろつくようになるのでしょうか?

ヒグマは食物条件によって越冬時期を柔軟に決定していると考えられ、冬期間に食物が得られなければ、冬眠すると考えられます。

  豊凶について 

質問内容

回答

ブナやミズナラなどの豊凶と、農作物の豊凶との関係はありますか?

多くの農作物は1年生の植物なため、その豊凶は当年の気温や降水量に影響を受けています。それに対して、ブナやミズナラなどの多年生の樹木は、前年にどれだけ結実したのかや、花芽を形成する時期(開花・結実前年の夏頃)の気象条件などによって、開花や結実の量が左右されます。ですので、ドングリの豊凶と農作物の豊凶が単純に一致するわけではないとえられます。

ブナやミズナラ以外の食べ物(ブドウ、サルナシなど)の豊凶と出没はどう関係してくるのですか?

ヤマブドウやサルナシなどの果実も豊凶が激しいことが知られています。したがって、ブナ・ミズナラ以外の果実の豊凶もヒグマの行動に関係している可能性があります。しかし、ブナ・ミズナラに比べると森林での絶対量が少ないため、ヒグマへの影響度は相対的に低いと考えています。

道南ではブナとミズナラの両方が凶作の年にヒグマの捕獲が増えるとのことでしたが、ブナの生えていない地域ではミズナラの凶作年に捕獲数が増えるのでしょうか?ミズナラの豊凶はブナほど明確ではないグラフがあったと思います。ミズナラの凶作年が予測できないならば、クマの出没も予測が難しいように思うのですが。

ブナが分布しない地域では、ミズナラの豊凶がヒグマの出没に影響している可能性がありますが、渡島半島地域以外は解析途中のため検証できていません。また、一般的にブナでは豊凶の傾向が広い地域で一致するのに対してミズナラではそうではありません。しかしながら、数年に一度ですが、ほとんどのミズナラが実をつけない大凶作になる年があります。このような年にヒグマの出没が増える可能性があると考えています。

豊作度の定義を教えてください。

ブナの場合は1㎡あたりに落下してくる種子の数、ミズナラの場合は枝先50cmに着いている種子の数によって定めています。

 環境と出没 

 

質問内容

回答

どんぐりの豊凶と出没との関係はわかりましたが、森林率の変化などとの関係はどうなのでしょうか?
札幌などは不要と思われるトンネルを作ったり(昔はクマの巣との俗説もあったという砥石山近辺で、今まさにトンネルが掘られています)、自然が明らかに減っています。森が少なくなると春のエサとなる草や、秋のエサとなるドングリも減ると思いますが、札幌は野生の動物の居場所も考えた上で自然を減らしている(開発を続けている)のでしょうか?

土地利用の変化(森林の増減)と出没増加の関係については、残念ながら未解明です。
ただし北海道における一般的な傾向として、森林面積は1960年代以降増加傾向にあり、この30年間では生息可能な場所はむしろ拡大している可能性があります。今後の課題として、特に1960年代以降の農地と森林の境界部分における植生や土地利用の移り変わりを調べることで、出没傾向と関係があるかどうかを解析することが必要です。

出没対策 

 

質問内容

回答

街の人や山菜採りの人がクマから身を守る手段を教えてください

基本的にはヒグマも人を避けて行動しているので、出会わないようにすることが大切です。具体的には、ヒグマの生息しているところに行くときには音を出す、複数で行動するということがあります。また、万が一に備えて、クマスプレーやなたを持つことも有効です。

出没対策(学習) 

 

質問内容

回答

今日のセミナーで、「農産物が狙い目である」とクマが学習してしまうことがあつれき発生の一因であるという認識を持ちましたが、これに対して対策はあるのでしょうか?クマが大嫌いな作物を育てるとか?4~6歳までの学習で、農作物に向けない為の具体策を教えてください

行動範囲にクマが好む農作物があれば必然的に被害が発生します。若い個体は好奇心が旺盛で行動範囲も大きくなりますから、被害発生のリスクも高くなります。山際などクマがアクセスしやすい農地にはクマが好む農作物を作付けしないことが望ましいでしょう。それができない場合は、電気柵を設置することで、クマが電気柵に近寄らない学習効果が期待できます。

ヒグマは成育期間の「学習」によって成体としての行動の個性が決まるとのことですが、あつれきを減らすために「学習」にどのように具体的に人間側が関わればよいのでしょうか?

人間のいる場所の近くでは、良いことがないということ、また人間の生活圏近くでは存在がすぐに感知されてしまい、プレッシャーを受けるということを学習させることができれば良いと思います。そのためには、農作物や生ゴミなどの食物がヒグマに利用できないように管理することと、訓練したイヌなどの力を借りて、ヒグマの接近を早期に感知するシステムの整備などが考えられます。

出没対策(活動時) 

 

質問内容

回答

子どもたちを引率して野外活動(登山やハイキングなど)を行う場合に注意すべき点、対策及び中止の判断基準について教えてください

基本的に、北海道内の森林や山はほとんどの場所にヒグマが生息しています。また、大人数で行動している人が事故にあうことはこれまで報告されていませんので、基本的な注意事項(音を出す、単独行動を避ける)を守っていればあまり神経質になることはないと考えます。ただし、人をあまり避けないヒグマの情報がある場合については、中止を検討することも必要と考えます。

札幌近郊でクマさんに出会ったら、本当にどうしたら良いのでしょうか?

基本的には、ヒグマも人を避けて行動しているので、出会わないようにすることが大切です。それでも出会ってしまった場合には、慌てて走って逃げたりしてはいけません。十分に距離がある場合は、クマから目を離さないようにしてゆっくりと後退しましょう。近距離で突然遭遇してしまった場合には、クマスプレーなどが有効と考えられています。しかしながら、クマとの遭遇はその時々によって状況が異なることから、確実な対処法を示すことはできないのです。

山歩きの場合「馬鈴」をつけて歩いています。他に準備するものはありませんか?ありましたら教えて下さい。

クマとの突然の遭遇を避けるためには、自身の存在を積極的に知らせるために音を出すことが有効です。鈴などを持ち歩くか、必要に応じて声を出したり手をたたいたり、あるいは立木を棒で叩いたりして音を出すようにするとよいでしょう。万が一に備えて、クマスプレーやなたを持つことも必要です。登山用具店等で販売されているクマ撃退スプレーは、クマの顔めがけて噴射することで鼻や目などの粘膜を刺激し、クマの突進を食い止める効果があります。事前に正しい使用方法を確認しておくことが大切です。

出没対策(環境整備) 

 

質問内容

回答

現在盤渓のある施設で働いているのですが、クマの出没について不安を抱いております。対応として周りの草苅り、鈴つけ、爆竹等の方法をとっていますが、実際どのような対応が有効ですか?

周囲の刈り払いによって見晴らしを良くしておくことは、クマが近寄りにくい環境を作る意味において有効と考えられます。また、クマは嗅覚が非常に敏感ですので、クマを誘引するような生ゴミや食料、コンポストなどの管理を徹底すべきです。臭いの発生を抑えられない場合は、該当する場所に電気柵を設置するなどして、クマが利用できなくすることが必要です。

シカ柵のように森林域と人間の利用域を分断する方策も各地でとられていると思いますが、ヒグマ被害についても同じような方策が有効だと考えていますか?特に農業被害について、電気柵などはどれくらい(現況として)効果がありますか?

シカ柵のような物理的な柵は、登って越えてしまうためクマに対しては効果がありません。適切に設置された電気柵はほぼ完全に被害を防除できることが実証されています。ただし、執着が非常に強い場合には電気柵の下を掘って侵入する例が報告されていますので、クマが農作物などに執着する前のできるだけ早い時期に設置することが必要です。

先日札幌市街地にクマが出没したことから、その経路を断つため河畔林が伐採されました。河畔林をクマの経路としてみるならば(報道より)、そこに食物となりうる実のなる木があったために経路となっていたと思われますが、一帯を全てを伐採しなくてもよかったのではないでしょうか?エサとなる草木のみ伐採すればよかったのではないでしょうか?

ヒグマは開けた場所に出ることを嫌うので、藪など体を隠せる場所を選んで移動する習性があります。このため、実のなる樹木がない河畔林でも移動に利用するので、伐採することで移動経路を分断することは対策の選択肢の一つと考えます。ただし、河畔林には移動帯の他にも生態系における多様な機能があり、伐採などの対策は計画的に実施する必要があると考えます。

人としてのテリトリーをクマに示す方法はないのでしょうか?ニオイ?マーキング?

人の存在を示すにおいであっても、クマにとっておいしい食べ物と関連づけて学習してしまえば、かえって人里にクマを誘引することがあります。重要なことは、クマを誘引する生ゴミや食料といったものを適切に管理して、クマが手に入れられないようにすることです。クマが自然に利用するオニグルミなどを、クマの生息域と接する地域から除去することも有効です。また、人の活動する場所の周囲の藪を刈り払って見通しを良くし、クマが近づきにくい環境を整備することも有効と考えられます。

ドングリまき 

 

質問内容

回答

メディアではわかりやすさのためなのか「ドングリとクマの出没」の影響が取りざたされることが多い印象です。本州では一部の動物愛護団体が山にドングリをまく等の活動をしている例もあり、餌付けにつながりかねないと危惧しております。このような「わかりやすさ」は時に誤った活動、結果を生みかねないと考えます。研究者としてのお立場から市民への情報公開などについてご意見があれば伺いたいです。

我々研究者の立場としては、科学的なデータにもとづいて実際に起きている現象を解明していくことが大切だと思います。また、そうした結果をわかりやすく道民の方々に伝えていくことも重要と考えます。
道民の方々への情報発信は、研究機関からの直接の情報発信が大切と考えています。ホームページ等を利用して、科学的に明らかにされた研究トピックを伝えるようにしたいと考えています。

「日本熊森協会」というクマの保護団体は、ヘリコプターでクマの生息地にドングリを落としてあげる活動をしていますが、北海道でそういう取り組みは無理ですか?「読者の声」(道新)などでは、射殺を望まず「共存」を望む声が圧倒的に多数ですが。

食物不足だけがクマが人間の生活圏に接近する要因ではありません。むしろ様々な動物に影響を与える可能性があることから、ドングリを撒くことによる生態系の攪乱が問題です。

人材育成・体制整備 

 

質問内容

回答

ヒグマ出没に関して、新たな体制の構築が必要と言われましたが、どのような体制を構築した方が良いと考えていますか。地元ハンターの負担が増え担い手不足の中、打開策や何か具体的に考えられていることがあれば教えて下さい。

ハンターの育成も大切ですが、限界もありますので、専門的に対応する人材を配置していくことが重要だと思います。

ハンターを増加させる方策は?

過去に狩猟者が増加した大きな理由は、獲物への需要が高く、経済的恩恵を受けられることでした。狩猟者を増加させるためには、狩猟や捕獲した獲物の価値を高めることが必要と考えますが、現在の日本の状況では困難かもしれません。

専門家の養成機関はありますか?仕事として従事することができるようにヒグマ捕獲技術者の養成を切に願います。

近年では大学の一部にそうした場が作られてきていますので、そうした人材が活躍できる場(仕事)を作っていくことが今後必要です。

日本と外国のヒグマ対策の違いと特徴を教えてください。

外国のヒグマ対策も国によってさまざまですが、先進的な国では、ヒグマだけでなく、野生動物全般に対応する専門部署が作られており、こうした点が大きな違いだと思います。

普及啓発 

 

質問内容

回答

小学校で今度早稲田さんの講習があるのですが、子ども以前に学校職員や親への教育が先なような気がします。保護者向けの講習の方を急いだ方がよいのでは?

おっしゃるとおり、学校職員や保護者に向けての正しい知識の普及も重要ですので、子どもに対する普及啓発と並行して進めていくことが大切です。

その他 

 

質問内容

回答

今、北海道で必要なヒグマ対策について何点か教えて下さい。

長期的な視野に立って考えると、子供に対するヒグマに関する教育が最重要です。また、農業被害に対する正しい防除法の普及と、ヒグマなど野生動物の保護管理に専門的に携わる人材や捕獲技術者の育成も重要です。そのためには、ヒグマを初めとする野生動物保護管理のための社会的なしくみを構築する必要があります。

ヒグマとのあつれきについては、どのくらいの被害状況を妥協点と考えていますか(人身、農業被害、市街地出没含め)。

農業被害の有無にかかわらず、「近くにヒグマがいることに対する不安」から駆除を望む声が強いことがあります。これは人間側がヒグマのことをよく知らず、恐怖の感情を持つためだと考えられます。「恐怖の感情」からは、極端には「一頭もいない方が良い」という結論になりますので、ヒグマに関する正しい知識の普及が重要です。農業被害を完全になくすことは困難ですが、できる限り少なくする努力が必要です。

ヒグマと共存できるのでしょうか?

北海道のヒグマを根絶することは物理的にも社会的にも困難と考えられます。そのため、生息するヒグマによるあつれきのリスクを極力減らしながら、問題発生時にはきちんと対応する危機管理のしくみを充実させることが必要と考えます。「共存」とは「折り合いをつける」ことだと思います。

ドングリの実を拾って家の中に置いておくとクマに襲われる危険性はありますか。あるとすればどの程度の量ですか?ザル1杯、バケツ1杯?

ヒグマが日常的に接触している場所でなければ、家の中に置いたドングリにクマが気づき襲う危険性は低いと考えます。

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