共働学舎新得農場との「森の香りのチーズ(ヤチヤナギチーズ)」開発

森林研究本部 林業試験場緑化樹センター脇田 陽一(わきた よういち)

 

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林業試験場緑化樹センターでは街路樹などの身近な緑の研究を行っており、さまざまな価値の高い樹木の選抜や増殖技術の開発を行っています。これまでに、30樹種以上約100系統の優良個体の組織培養による増殖に成功しました。

選抜・増殖した樹木としては「花粉のできないシラカンバ」や「国後陽紅(濃紅色のチシマザクラ)」などがあります。

その中から、今回は、道産樹木「ヤチヤナギ」の組織培養による増殖技術の開発と芳香成分による癒しの効果やチーズや香粧品等への利用についてご紹介します。
寒冷な湿地に生えるヤマモモ科の低木ヤチヤナギは、株全体に清々しい芳香を有し、中世ヨーロッパではビールの香り付け等に利用されてきましたが、現在、世界的に個体数が減少しています。日本でも、本州のごく一部、北海道では湿原を中心にいくつかの場所に自生していますが、開発等による湿原の減少に伴い、絶滅が危惧されています。きれいな花を咲かせたりすれば、新聞やテレビ等で取り上げられ、注目されるのでしょうが、あまり目立たない植物なので、自生しているのに気がつかず、開発等が進められているのが現状です。
自生地を荒らさず、効率的に増殖させ、積極的に活用することによって、その有用性を広く道民に認知してもらうことが最終的に自生地保全の大きな助けになると考え、研究を実施しました。
まず、組織培養による増殖技術を開発しました。これにより、自生地を荒らすことなく、1つの小さな(1.5㎜)芽の成長点から、効率的かつ永続的にヤチヤナギを増殖することが可能になりました。
続いて、増殖したヤチヤナギの利用へ向けて、その成分や機能性の研究を進めました。 その結果、ヤチヤナギの芳香にはストレスを低減させる効果があることと、抽出成分には抗酸化性及び美白性があることが判明しました。
現在、化粧品会社が香粧品を製造・販売している他、共働学舎新得農場と共同開発した清々しい芳香を活かした“ヤチヤナギチーズ(熟成タイプ)”が製造・販売されており、このチーズが第20回北海道加工食品コンクールにおいて、最優秀賞にあたる北海道知事賞を受賞しました。
6月下旬から9月中旬までの期間限定ですが、皆様、機会があれば、是非、ヤチヤナギの清々しい香りをお試しいただければ幸いです。

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