北のブランド食材「やまのいも」とその品種改良の長い道のり

農業研究本部 十勝農業試験場 田縁 勝洋(たべり かつひろ)


DSC_0435.jpg  十勝の代表的な作物である「ながいも」は、植物分類上「やまいも」の仲間に属し、「じねんじょ」「やまのいも」「だいじょ」に分けられます。日本のいもの中で唯一の在来種である「じねんじょ」とは別種である「やまのいも」は、いもの形状により「ながいも」「いちょういも」「ついくねいも」の3種に分けられ、17世紀頃中国から渡来し日本各地に広がり栽培されました。
十勝のながいも生産は、導入されて40年程度と歴史は浅いのですが、現在は高い栽培技術により全国1位の収穫量を誇り、その一部は台湾、アメリカなどの海外へ輸出されております。
十勝のながいも栽培は、4月から種いもの準備が始まり、5月には畑に種いもを植え付けし、11月の収穫にいたるまで、生産者が丹精こめて栽培しています。十勝産のながいもの特徴は外観が白くて美しく、府県産ながいもに比べ優れた品質をもっています。病害の発生が少ないために農薬の散布回数が少ない北海道のながいもは、安心安全な北の食材の一つです。
そういった状況の中で、十勝向けの新たな「やまのいも」品種を目指して、地元の農協と共同で品種育成の取り組みが20年前から十勝農試で開始されました。これは、母親となる「いちょういも」から高品質性と耐病性を、父親となる「ながいも」から低温肥大性をそれぞれあわせもった品種の育成が目標でした。育成の過程では、人工交配による種子が容易に採れないため実生(種子の発芽後に得られるいも)の個体数が増えなかったり、理想的な形状のいもの発生頻度が極端に低いなど容易には目標とする品種をつくることができませんでした。
平成22年度には、ついに短根で高品質、耐病性を持ったやまのいも新品種「十勝3号」(品種名:きたねばり)の育成に成功しました。現在は、「きたねばり」を十勝の新たなブランド品種にするために、各種イベントでとろろの試食を実施して「きたねばり」の高品質性を消費者にアピールしています。また、「十勝パンを創る会」の協力でパン生地に「きたねばり」を練り込んだ新商品開発などに取り組んでいます。

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