第54回 地震災害(斜面崩壊)

地震で崩壊した森林の今

2019年5月15日
森林研究本部 林業試験場
速水将人・中田康隆・佐藤創

セミナーの様子(ドローンの説明)

セミナーの様子

こんなお話をしました

 平成30年9月に発生した北海道胆振東部地震では、最大震度7を観測した厚真町を中心に約240 km2(平方キロメートル)の範囲に6000箇所以上の斜面崩壊が発生しました。森林被害は約4300haに及び、地震由来の災害としては明治以降最大面積の被害となりました。
現在、被災地では、未曾有の被害に対応した森林再生技術の開発が強く求められています。特に、大面積かつ複数の崩壊地において森林を再生させるためには、まず植物が生育できる基盤の条件を満たしているかどうかを判定する必要があります。

 今回のセミナーでは、発災直後の崩壊斜面の実態把握を目的として行った、(1)立地条件(傾斜角・崩壊深)、(2)表土の安定性、(3)土壌物理性(土の硬度・水の浸み込みやすさ)についての調査結果をお伝えしました。
  さらに、本研究で道総研 林業試験場がいち早く導入した高精度ドローン(Phantom4 RTK)による空撮動画や、空撮画像から作成した3次元モデルもお見せし、最新の調査手法や解析技術の有用性を解説しました。

 調査の結果、全崩壊地数の約19%は、重機を使用し安全に作業することが可能な20°以下の傾斜で崩壊が発生していることがわかりました。  
  また、発災前後の航空機LiDARデータ(セルサイズ1m)を用いた差分解析により崩壊深を推定した結果、セルごとの崩壊深に大きなばらつきが認められたことから、崩壊前の森林の表土の残り方は崩壊地ごとに異なる可能性が示唆されました。ただし、融雪後に行った高精度ドローンによる現況調査では、崩壊斜面の一部で融雪水や雨などによる表面侵食が拡大している様子が確認されています。  
  一方、57地点の崩壊斜面を対象に行った簡易貫入試験(土の硬度を調べる)と透水性試験(水の浸み込みやすさを調べる)では、植物の根系が容易に侵入でき、かつ、透水性が高いと判定できた地点は、32地点(57%)確認されました。
  以上の調査結果は、森林再生技術の開発に向けた基礎的なデータとして活用していきます。今後は、上記(1)〜(3)から得られた結果を踏まえ、崩壊斜面を対象とした生育基盤の評価基準を作成する予定です。

講演資料(PDF/5.2MB)

セミナー資料

案内チラシ(PDF/1.5MB)

セミナーチラシ

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