第20回 アキサケのおいしさ

食の宝物アキサケ おいしさの科学

2011年10月25日(火)
水産研究本部 網走水産試験場辻 浩司(つじ こうじ)
産業技術研究本部 工業試験場 宮崎 俊之(みやざき としゆき)

こんなお話をしました

(辻より)
DSCF2192.JPG  サケ類の国内消費量は、年間1人当たり約4㎏あり、総量は50万トンに達し、加工品では、塩蔵品(新巻)、調味加工品、乾製品(トバ)、くん製品、魚卵(スジコ、イクラ)等があり、魚介類の中でも非常になじみ深い魚です。

サケの漁業生産は、水揚げされる場所と加工場が隣接することで、地域産業に大きく貢献しています。また、道内の生産者は、漁獲から選別(雌雄、大きさ、成熟度合い)、産地市場まで、鮮度保持や衛生管理を行っており、道産サケが安全な食材として、店頭に並んでいます。しかし、残念ながら道産サケの国内需要は、減少している現状にあります。道産サケは、ワイルドサーモンとして海外での需要があり、北海道で水揚げされるサケの約半分が中国で「切り身」に加工され、ヨーロッパで消費されています。いっぽう、日本では、外国で養殖されたサケが、寿司ネタ(生食)としての人気が高く、常に上位ランキング入りをしています。そこで、道産サケの国内での消費拡大を目的に、今回は、「活(かつ)〆(じめ)」についての取り組みを紹介します。水産試験場では、平成20年から3年間にわたり、標津漁業協同組合、標津町及びさけます・内水面水産試験場(道東支場)の協力のもと、工業試験場と共同で試験を行ってきました。

活〆には、鮮度保持効果と脱血(血抜き)による生臭さの低減や身色(明るさ)の向上が期待されますが、前述のようにサケは、高鮮度で産地加工されることが多いため、いかに効率的に生臭さの原因となる血を抜くことができるか検討してきました。結果、船上で鰓(えら)を切削する方法が最も脱血効率が高いことが分かりました。そして、脱血処理により、「トバ」の生臭みや「スジコ」の赤色を向上させ、脂質の酸化を抑制する効果が認められ、標津漁業協同組合では、「船上一本〆サケ」加工品の販売を開始しました。

水産試験場としても、サケ生産者や加工業者の皆様とともに今後もPR活動を進めていきます。店頭で「活〆」表示をみかけたら、食卓の一品に是非、生産者が手間暇かけた、おいしい道産サケ(ワイルドサ-モン)は如何でしょう。

(宮崎より)
  DSCF2198.JPG  今年もアキサケのシーズンがやってきました。このランチタイムセミナーでは、「色って何?」という(解っているようで実は奥が深い)話題から、アキサケの魅力、身色計測装置の開発裏話、装置が持っている可能性などについてお話しさせていただきました。

北海道の代表的な海産物である「アキサケ」は、孵化放流事業の成功により、毎年多くの水揚があります。アキサケは北太平洋を回遊しながらオキアミなどの甲殻類を食べて成長し、身体の中に赤い色素が蓄積することで、鮮やかな赤色になります。この赤い色素はアスタキサンチンと呼ばれ、非常に高い抗酸化作用を持っていることが知られています。

産卵のため北海道に回帰する時期になるとアキサケは絶食し、身色も徐々に白くなります。アキサケの身色は「美味しさ」と関係がある事が解っており、赤いものほど高値で取り引きされています。

北海道のアキサケは多くが海外に出荷されており、「ヘルシーな自然食品」として欧州などで食されています。この海外向け商品は主に中国で加工されており、北海道から原料として、年間数万トン(H22年度)が輸出されています。アキサケの輸出を増やし、ブランド価値を高めるには、原料の状態で内部の身色を、正確に知る必要があります。

輸出用の原料加工を行っている水産加工工場では、熟練者がアキサケの身色判別を行っています。水揚時期や皮の色などで「レッド」、「ピンク」、「ホワイト」の3段階の評価を行いますが、熟練者でも正確に見分けることが難しいのが現状です。

そこで工業試験場では、北海道漁業協同組合連合会や北海道大学大学院水産科学研究院の協力を得て、正確に身色計測できる装置を開発しました。開発したアキサケ身色計測装置は、光ファイバー技術や組込みシステム技術を利用し、水産加工現場の方のノウハウを詰め込んだ、誰でも簡単に計測できる装置になっています。

質問にお答えします

 

質    問

回    答

 全体の漁獲の中で、(身色が)白と判断されるサケがどれくらいあるのでしょうか?
高品質のサケを増やす手段はありますか?

エサ(小型のエビ)を食べる量、北海道に戻ってくる時期(産卵までの期間)、場所によって身色が「白」と判断されるサケの割合が毎年異なり、はっきりとしたことはいえません。

川から海に下ったサケ稚魚は、その後2年半から5年半(3歳魚から6歳魚)かけて、北洋の海で栄養価の高いえさを食べ、広範囲に移動しながら成長するため、川に戻ってきたサケはすでに高品質といえます。しかし、この品質を維持したり、さらなる「高品質化」を目指したりするためには、漁獲量(回帰率)を増やす研究や漁獲後の高品質化を図る活〆研究が重要です。

 

脱血した血液や内臓の利用についての研究は、どこまで進められているのですか? 脱血した卵巣(スジコ)の研究は進み,市販されつつありますが,精巣(シラコ)の利用については今後の課題です。
銀毛→銀色だからと思いますが、ではブナは何でブナと言うのでしょうか? ブランド鮭にも非常に味の悪い物もあります。一見食べないと判らない感があります。 樹木のブナの木の皮に似ていることが由来のようです。また,現在のブランド化は目利き(生産者,市場関係者,加工業者)により,身の色や脂ののり(美味しさ)が基準となっていますが,今回のセミナーで照会しました工試の「身色測定器」や化学分析による客観的な脂質量などの数値化も合わせて,道産サケのブランド化が図られるよう,今後も研究していきます。

さらに詳しく知りたい方は・・・

  動画北海道公式チャンネル

  案内チラシ

表[秋鮭].jpg 裏[秋鮭].jpg 

 

 

 

 

 

 

ご協力いただきました

ドトールコーヒーショップ北海道庁店

TV番組に取り上げられました

セミナー当日のSTV「どさんこワイド179」において、セミナーの様子と身色計測装置が紹介されました。

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