No.3 1988.8.31

letter HAGRES 北海道立農業試験場だより

移出切花の供給基地を目指す

スプレイカーネーション  北海道の花き生産が飛躍的に増加しています。昭和62年度の生産額は48億円に達し、前年比で123%になりました。道内の農業粗生産額に占める割合では0.2%とまだ小さいのですが、他の作目が軒並に厳しい状況下におかれている中で、生産の伸びが際立っています。
 古くから都市近郊で栽培されてきた北海道の花きは、近年稲作転換を契機に水田地帯で増加し、栽培面積の約7割を転換畑で占めるようになりました。最近では畑作地帯にさらに酪農地帯にも導入が試みられ全道、全域に拡大しつつあります。
 花きは冷涼な気候を好む種類が多く、夏から秋にかけて生産が落ち込み、全国的には端境期になります。こうした時期に、府県への移出が年々増大しています。
 北海道の花き栽培は、夏が冷涼である気候的な特徴と耕地面積が広い優利性を生かし今後とも生産を拡大し、夏秋期における花きの供給基地として発展することが期待されます。

(中央農業試験場園芸部)

研究の成果

カーネーション、カスミソウ、スターチスの夏秋どり栽培法

 本道の主要花きであり、移出切花の中心品目でもあるカーネーション、カスミソウおよび、スターチスについて、府県の端境期である夏から秋にかけて採花するための基本的な栽培指針を明らかにしました。
 昭相60年度から、道南農試でカーネーション、中央農試ではカスミソウ、スターチスを分担し、それぞれの花きの品種特性、栽培法について検討し、また、旭川市、月形町、伊達市および森町、七飯町の現地でも品種適応性調査を実施しました。
 カーネーションは一茎一輪咲きの大中輪系、一茎多花咲きのスプレイ系、小輪系など種類が多いのですが、そのうち需要が伸びているスプレイ系について試験を実施しました。
 スプレイ系は品種数が特に多く、消費者ニ一ズに合った品種や、作型に合った品種を選ぶことが栽培の重要なポイントになります。定植期は5月中旬から6上旬になりますが、9月中旬以降は保温が必要となります。仕立法では4本仕立てが3本仕立てに比ベ、採花数は多くなりますが、無加温の作型では3本仕立ての方が品質が良くなります。
また、電照は初期生育を促進させることに加えて、生育後半でも開花促進効果が認められます。
 シュッコンカスミソウの品種は「ブリストルフェアリー」が短日期に向かう道内の夏秋どりの作型にはもっとも適応していることが明らかにされました。仕立て茎数は作期により傾向を異にし、遅い作期では仕立て茎数を多くすると採花が遅れ、品質も劣りました。したがって採花が9月中旬以降にかかる作期では3本仕立てが安全です。
 販売されている苗は「砂上げ苗」/ポット苗」などいくつかの種類があり、それぞれ生育ステージが異なり開花までの日数も違ってきました。また、定植当年は定植期により採花期を決めることが可能ですが越年した株は7月に一斉開花いたします。
 スターチスも種類が多いのですが、需要の多いシヌアータ、ボンジェリー種を中心に検討しました。品種により抽台開花に必要な低温量に差が認められ、その違いにより、品種を1)低温要求量が多い、2)低温要求量がやや少ない、3)低温要求量がきわめて少ないかほとんどない、の3つのグループに分類しました。は種時期が3月から4月へと遅れるに従い、採花時期は遅れ、採花量も少なくなりました。は種が5月になると1)、2)のグループでは抽台開花が著しく減少しましたが催芽させた種子を低温処理することにより採花量が増加しました。

(中央農業試験場園芸部)

研究室Now

上川農業試験場畑作園芸科

 上川地方では、各地域の特徴を生かして数多くの畑作物が栽培されています。これらに対応するため、麦類、豆類、根菜類等畑作物全般について、適品種の選定や栽培法の改善に関する試験研究を進めています。さらに近年野菜等の主産地形成が進み、北海道の中核野菜地帯として発展が期待されています。
 畑作園芸科は62年に旧畑作科から科名を変更して、園芸作物の試験研究を開始しました。現在、夏秋どりレタスの安定生産技術の確立をめざしています。
 作付面積の大きい秋播小麦では、特に雪腐病の被害が問題となっています。これに対し49年から一連の試験を進め、越冬性向上に関する栽培法の改善を図り、多雪地帯における秋播小麦の生産安定に貢献してきました。
 また、56年から北見農試と協力して雪腐病に強い良質小麦の選抜を進めています。現在、「チホクコムギ」並に良質で耐雪性の有望系統が育成されつつあります。
 一方、上川地方の畑作は、水田転換畑での栽培が多いため、湿害や連作にともなう病害の発生しやすい環境にあります。これまで、高畦栽培や連輪作の試験を行い、転換畑での栽培法改善に寄与してきました。
 大きな被害のみられるアズキ茎疫病に対しては、現在十勝農試と協力して抵抗性系統の選抜を進めています。抵抗性で良質な有望系統が見い出されており、新品種の誕生が期待されます。
 本場(旭川市)から離れた士別市にありますが、地域の生産現場で抱える問題点にすばやく対応できる研究室でありたいと考えています。

(士別市東山町3345番地)


ハーグレス

十勝農業試験場

 十勝平野は北海道の代表的な畑作地帯です。そのほぽ中央に位置する十勝農試では、畑作並びに畑作物に関する試験研究が中心的な課題です。
 昨年来農作物の輸入自由化が問題になり、また、麦や大豆などの政府買い上げ価格の引き下げがあって、畑作農業は厳しい状況下に立たされています。
 1戸の平均耕作面積が20haを越す規模に拡大しましたが、十勝の畑作にとって現在栽培している小麦、ばれいしょ、てんさい、豆類の基幹作物をどうやって維持していくかが大きな課題です。
 十勝農試では、これらの作物のコストの引き下げや、生産物の品質向上のための技術開発に頑張っています。
 最近、十勝管内では畑作経営の中で野莱作が僅かずつ伸びています。「北見たまねぎ」の比ではありませんが、「川西ながいも」の名が広まりつつあり、「豊頃だいこん」も時々新聞に載るようになりました。
 十勝農試でも、62年4月作物科が畑作園芸科になり、ことし研究員1名が増員されました。現在、欧米から導入した寒地型野菜の適応性検定、ギョウジャニンニクやウドなどの山野草の優良系統選抜と増殖法試験にも着手していますが、地元からはその成果に期待が寄せられています。

(河西郡芽室町新生)


研究の展望

高品質小麦の緊急開発

拡大整備のすんだ検定ほ場  北海道産小麦の生産量が増加し、国産小麦に占める割合が高まるに伴って、品質の向上が強く求められています。また収量、栽培特性の改善は引き続き重要な問題です。
 これらの課題を緊急に解決するため、63年から北見農試小麦科が中心となって・高品質小麦の緊急開発″プロジェクトが発足しました。北見、上川、十勝、中央の4試験場の共同研究により、地域的、専門的メリットを生かした総合的な取り組みによる成果を目指しています。
 高品質育種麺用小麦を目標とする秋播小麦では、「チホクコムギ」を凌駕する品種の育成が目標です。「チホクコムギ」の栽培が難しい地域では、「チホクコムギ」なみの品種特性が当面の課題となります。
 パン用春播小麦では、良質品種「ハルヒカリ」が倒伏し易く低収なため、短稈、多収品種「ハルユタカ」が育成されました。しかしこの品種はパン用としては不十分です。
小麦葯カルスからの器官分化  したがって、両品種の1長所を備えたパン適正を持つ多収品種の育成を目指しています。
 品質低下要因の排除小麦の品質低下要因の一つに、α-アミラーゼの活性化による「低アミログラム小麦」の発生があります。収穫期の降雨等による穂発芽が一誘因と考えられますが、耐穂発芽性品種の選抜、発生要因の生化学的解析、早期検定法の開発について十勝・中央両農試と共同研究を実施します。
 また被害の大きい雪腐病に対する抵抗性品種を育成するための現地選抜、検定体制を確立するために北見・上川両農試が共同であたります。
 遺伝資源の収集と評価良質小麦の育種目標を達成するためには優れた遺伝資源の確保が鍵です。国内、国外から収集した材料のスクリーニングにより、優れた材料の効果的な利活用を図ります。
 良質な北海道産小麦をより早く育成するために、通常の育種法に加えて葯培養、胚培養技術などのバイテク技術を積極的に利用していきます。

(北見農業試験場)




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