No.13 1992.1.30

letter HAGRES 北海道立農業試験場だより

ますます伸びる北海道のメロン栽培

収穫直前のキングメルティの果実  夏の北海道を代表する果物であるメロンは、ネットの優美さこそ温室メロンには及びませんが、中味の美味しさでは高い評価を得ています。このことは夏季の長い日照時間や大きな昼夜温較差と低湿度というメロン栽培にとって恵まれた気象条件を生産者の絶ゆまぬ努力で見事に生かしていることによるものです。
 平成3年度の全道の作付面積は2,140ha(前年度比106%)で全国第3位を占めています。品種としては、夕張キングに代表される赤肉の北海道キング系が最も多く、緑肉のキングメルティがこれに次ぎ、それを追ってエルシー、キングナイン等の日持ち性に優れる品種も急速に伸びてきています。
 栽培的には、高品質安定生産と管理の省力化のために施設化が進む方向にあり、作期の拡大と作型の分化により5月中旬から10月中旬まで連続的な出荷が可能となりました。野菜花き第一科では良食味と日持ち性を兼ね備えた品種の育成を目標に昭和60年から新品種育成に取り組んでいます。
 今後は優良新品種の出現と栽培技術の高位平準化により、いっそうの生産及び道外移出の拡大が期待されています。

(中央農業試験場園芸部)

研究の展望

黒毛和種去勢牛による高級牛肉生産技術の確立

Q.
牛肉の自由化の影響は。
A.
輸入牛肉と肉質で競合する乳用種牛肉の価格か下落し、初生牛や乳廃用牛の価格が暴落しています。このため北海適の肉牛農家や酪農家に深刻な影響を与えています
Q.
これからは何が課題となりますか。
A.
まず生産コストを低減して国際競争力のある経営をめざしていくこと、そして輸入牛肉と差別化できる品質のよい牛肉生産技術を確立することが急務の課題です。
Q.
なぜ黒毛和種なのですか。
A.
肉牛の中でも黒毛和種は、脂肪交雑いわゆるサシの入った高品質の牛肉を生産する点では世界最高の品種です。牛肉の自由化後も幸いにして黒毛和種は素牛価格が高く、枝肉価格も堅調に推移しています。
Q.
北海道の肥育技術は高いのでしょうか。
A.
道産牛肉の枝肉格付等級は全国的に比べてかなり低く、国内の産地間競争に立ち遅れているのが現状です。これは府県の主産地に比較すると繁殖牛や素牛の資質改良が遅れていること、さらには肥育の歴史が浅く、技術蓄積が少ないことが原因であり、改善していかなければなりません。
Q.
高品質な牛肉生産の技術的なポイントは。
A.
黒毛和種の肉質は遺伝的な要因に大きく影響されますが、月齢や飼育管理の影響も決して小さくないのです。飼料の給与方式や牛の増体パターンの違いと肉質との関連性については不明な点が多く残されています。また、肥育方式と牛体組織の発育様相との関係についてもまだ十分明らかにされていません。ここがねらいどころです。
Q.
牛の栄養水準と肥育効果との関係は。
A.
高い栄養水準で肥育したものが、中栄養水準で肥育したものより筋肉中の脂肪含量が高いとは限りません。肥育効果には月齢と栄養水準が相互に関係するからです。
Q.
脂肪交雑状況はどうやって測定しますか。
A.
と体で測定しますが、生きたままカラースキャニングスコープで測定できます。この場合、パソコンの画像解析システムと組合わせて、ロース芯面積や脂肪交雑状況を推定します。また、血清中の遊離脂肪酸と脂肪交雑との間には、高い相関関係のあることが分かっています。
Q.
この試験は何を目標にしていますか。
A.
高品質牛肉を生産するための最適な飼料給与方法を明らかにし、北海道方式ともいえる黒毛和種の肥育技術を確立することです。
Q.
試験計画はどのようになっていますか。
A.
(1)平成3~5年までは、エネルギー給与水準の違いが肉質に及ぼす影響について検討します。これは、エネルギー水準を変化させることによって牛の増体パターンの違いが肉質および肥育効率に及ばす影響を明らかにします。 (2)平成4~6年までは、飼料構成内容の違いが肉質に及ぽす影響について検討します。これは、(1)の結果から最適と考えられる増体パターンにおいて粗飼料の給与割合の違いが肉質および肥育効率に及ぽす影響をあきらかにします。
Q:
どんな成果が期待できますか。
A:
黒毛和種のもっている遺伝的な能力を十分に発揮させ、安定的に高級牛肉を生産する飼養管理技術の確立が図られます。これによって北海道の黒毛和種が全国の主産地として着実に発展していくことが期待されます。

(新得畜試研究部肉牛科)


研究の成果

夏どりレタスの栽培技術

白黒ダブルマルチを利用したレタス栽培  北海道におけるレタスの作付面積は600ha程度ですが、消費地では道産レタスの出荷に対する要望が大きくなっています。しかし、北海道といえども高温期には異常結球などによりその生産が不安定となるため、夏どり栽培での高品質安定生産技術の確立が急がれていました。
 本研究では、夏どりレタスにおける異常球発生の対策技術を検討し、栽培指標を策定しました。育苗条件についてみると、ペーパーポット育苗の場合、育苗期間が短くポットサイズが大きいほど生育、収量が良好となる傾向がみられました。・4ポットでは3~4葉期に定植します。直播栽培は、発芽障害や生育不良の可能性が大きいので不適当です。
 また、白黒ダブルフィルムマルチをすることで異常球の発生が減り、生育、収量の安定化が図れることが確認されました。しかし、この場合でも多肥や少肥では生育が不安定となるため、適正窒素量は1.5kg/a程度がよいでしょう。
 栽植密度では、株間が狭くなるほど球は軽くなりますが総収量には差がないため、中球のタイプを主体とする場合は株間を25~30cmに、大球となるタイプでは株間を30cm程度にすることが適当な間隔と言えます。
今後は機械移植に対応した栽培法の検討や、内部品質などを考慮した施肥管理技術の検討などが必要と思われます。

(上川農業試験場畑作園芸科)


大ヨークシャー系統豚「ハマナスW1」の造成

ハマナスW1  現在、わが国の肉豚は3元雑種が主流をしめており、この雑種生産のために用いられる品種としては、能力が高くしかも遺伝的に斉一な種豚が求められています。このような種豚を作り出すことを目的に行われているのが豚の系統造成試験です。
 滝川蓄試は大ヨークシャーの系統豚を造成するための試験を昭和54年に開始し、平成元年8月に系統豚「ハマナスW1」として完成し、平成2年3月に日本種豚登録協会の認定をうけました。
 「ハマナスW1」の能力の特徴は、わが国で現在まで完成された系統の中で最も発育が早く、しかも背脂肪が薄く赤肉部分が多いことにあり、優良系統豚として広範な普及利用が期待されています。体型は大ヨヨークシャーの特徴を良く備え、体に伸びがあり、幅は適度で体高は比較的高く体積があります。また、肢蹄が強く、歩く姿がしっかりしており、様々な飼養環境下に適応し活躍できると思われます。
 「ハマナスW1」は、ホクレン滝川スワインステーションにおいて維持増殖が行われており、平成4年の秋には最初の「ハマナスW1」種豚が出荷される計画です。

(滝川畜産試験場研究部養豚科)

研究室Now

今、あなた【家畜】が望む牧草は…!

天北農業試験場草地飼料科

ペレニアルライグラス草地の放牧風景  草地基盤を有する北海道にとって、今日の濃厚飼料に依存した高泌乳路線の中にあっても、粗飼料の高品質化と効率的利用は、重要な問題です。当地域は、根釧地域と並び草地型酪農を展開しております。
 積雪地帯という厳しい気象条件も、土壌凍結が無いことから、放牧に最も適した牧草であるペレニアルライグラスの栽培が可能な地帯です。当研究科は、【家畜のエサは、家畜に聞け】をモットーに、ペレニアルライグラスを用いた集約的放牧飼養技術の確立を主要テーマとして取り組んでいます。
 本草種は、北海道への導入から20年を経て準奨励品種(昭和53年)として認められたものの、放牧飼養の衰退時期と重なり、コスト低減が叫ばれた昭和60年代に入るまで、栽培も僅かでした。今日、栽培面積は拡大の一途をたどり、50年代とは隔世の感があります。
 この間、永続性の改善、混播利用法の確立や高栄養価牧草として家畜のし好性、高い草地生産性について研究を進め、消費者ニ一ズとしての『安全でおいしい牛乳』の生産に寄与して来ました。一方、採草利用の各種牧草については、『おいしくて、栄養のある』ものを『より多く』家畜に給与できる様に、栽培・利用法の研究に取り組んでいます。
 今後は、さらに酪農家のニ一ズに対応して、ペレニアルライグラスの採草利用技術にも目を向けて、当地域に最も適した牧草としてのブランド化を目指します。また、他草種については、地域性を加味した牧草の栄養評価を今後も進めていく予定です

(枝幸郡浜頓別町)


ハーグレス

北海道農業試験会議

~厳しい討論で役に立つ研究を追求する~

 農業試験会議は、設計会議と成績会議に区分されます。設計会議(3月中旬)は、翌年度以降に行う研究課題の目的や方法について検討します。それに先立って、新しく始めるテーマについては、あらかじめ新規課題設定会議(7月)で普及活動に当たっている農業改良普及員から出される現地からの研究要望課題を含めて検討されます。
 成績会議(1月下旬)は、その年度までに完了した研究成果の中から、実用技術として活用できるものを選び、技術の内容を評価し普及するときの留意事項を論議します。
新しい品種や生産技術に関するもの、貯蔵性、食物としての安全性、食味などの市場価値を高める品質に関するもの、農産物の貿易自由化に対応した経営技術など幅広い成果が堤出されます。
 会議には農水省北海道農業試験場(北農試)、道立農業試験場(道農試)および専門技術員のほか、課題によっては農業試験場と共同研究を組んでいる大学、団体、企業の関係者が参加します。
 農業の生産は気象条件やその土地の土壌の性質など自然条件に強く影響されます。試験研究は、これらの異なった環境に適応した技術を開発するために、いろいろと設計内容を変え、長年にわたり繰り返し実験し、結果を実証する必要があります。家畜を使って行う畜産の研究も同じことが言えるでしょう。
 農業試験会議は、研究担当者が相互に厳しい議論を交わすことによって、農業振興に一層貢献できる技術開発を進め、かつ出された成果が専門技術員を通して有効に伝達、活用されるために重要な役目をはたしているのです。

(中央農業試験場企画情報室)





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