蹄耕法による急傾斜地の草地造成方式について

田辺安一・中川忠昭・大森昭治・小塩 栄

新得畜試研究報告 2.39-46(1971)

 蹄耕法の基本的技術の急傾斜地における適応性を,肉用牛を用いて実用的な規模で検討した。標高426m,最大傾斜26度のササ型野草地の斜面5.4haを2分し,蹄耕法の造成工程基準に準して,秋季と春季に草地造成し,2カ年間放牧利用した。
 秋季造成では,ササの茎部が残る程度の火入れで,播種が9月上旬でも冬損はなく翌春以降の牧草率は90%以上であった。春季造成では,野草の再生が旺盛であったが適正な管理放牧によって2年目以降の牧草率を90%以上にすることができた。両牧区とも2カ年間に体重500kg換算でha当り約600頭を放牧することができた。
 地形に起因する家畜の食草行動についても若干検討した。土壌侵蝕は認められず,また,地形と直接関係のある家畜の事故はなかった。これらのことから,最大傾斜が30度近い急傾斜地でも,既往の造成工程基準によって良好な草地ができることを明らかにした。