十勝地域における公共育成牧場の実態分析

米内山昭和・大沼 昭・斎藤恵二・田辺安一・及川 寛・谷口隆一

新得畜試研究報告 3.43-114(1972)

 十勝内陸地帯における畑作複合段階の農家集団を基盤に存立する公共育成牧場を対象とし,その技術的,経済的構造分析と預託農家の経営発展段階,牧場利用意識の調査解析などから,育成牧場の存立性を検討した。
 調査の主たる対象とした幕別町営乳牛育成牧場は,農業構造改善事業の一環として昭和39年度から建設に若手し,42年度より預託放牧を開始した。用地総面積は 361ha,うち改良草区200haを1牧区10~27ha(改良面積9~11ha)の22牧区に分割利用している。
 改良草地のha当りの施肥量は N52kg,P2O3 1kg,K2O 70kgである。牧養頭数は約500頭(6~18カ月令主体)で,放牧期間は凡そ150日間である。ha 当りの延放牧頭数は300頭で,日増体重は0.7kgと標準的な技術水準である。放牧牛群は授精牛群と育成年群の2群構成とし,平均滞牧日数は3.2日で,牧区の利用頻度は6.4回である。
 牧場内における疾病発生は趾間腐らん,未経産乳房炎などが中心で,発生率は40%程度であった。なお,これらの技術水準は,補足調査対象とした芽室町,鹿追町および忠類村の各育成牧場とほぼ同じであった。
 預託放牧料は,月令区分により1日1頭50~90円であるが,放牧原価は平均75円程度で,収支均衡の状態であった。預託需要は年々酪展家の27%によって支えられているが,各年とも約半数の預託農家の交替が繰返されており,かつ非預託農家は酪農発展段階初期のものが多く,その約半数は今後預託意向を示しており,総体的にみて育成牧場の社会的存立性は高まりつつあることが判明した。