積雪寒冷地帯における肉用牛の越冬施設に関する試験
 I.越冬施設が繁殖成雌牛の養分摂取量,体重推移等に及ぼす影響

細野信夫・荘司 勇・谷口隆一

新得畜試研究報告 7.31-42(1976)

 春分娩の無角へレフォード種雌牛40頭と,その子牛39頭を供試し,施設は閉鎖畜舎,閉放畜舎,防風柵(以下,シェルターという)の3処理とし,施設様式による環境差が繁殖成雌牛の冬期飼養に及ぼす影響を粗飼料主体の飼養条件下で検討した。
 乾草の自由採食によって,最も低温に経過したうえ乾草品質の劣った第II年度を除いて,TDN摂取量が要求量を上回り,妊娠期に増体を示した。試験開始後 12週までの妊娠末期における体重推移について,回帰平面を用いた重回帰分析の結果,年度・養分摂取量には有意差(P<.01)が認められたが、施設処理間には有意差が認められなかった。
 また,試験期間中,供試した成雌牛には疾病の発生がなく,全頭健康に経過した。なお,シェルター区の生産率は85%であった。したがって,この試験範囲の気象条件下でも,シェルター程度の簡易な施設で春分娩予定の雌牛の越冬飼養は可能であると考えられ,施設簡易化の可能性について見とおしを得た。
 しかし,産子を安全に哺育する上では,施設の簡易化と分娩時期との関連について十分配慮する必要があるようである。