草地の晩秋放牧徹底利用が肉用牛の増体と翌春の草生におよぼす影響

裏 悦次

新得畜試研究報告 10.45-48(1979)

 放牧は経済性のみならず,省力管理の面でも有利な飼養形態であり,その期間を可能な限り延長できることが望ましいと考えられる。既往の技術として,計画的に晩秋用草地を確保する方法がある。
 また,土地有効利用の観点から,改良草地と野草地,ササ地を組み合わせた放牧延長の試みも行なわれている。しかし,これらの方法による延長も,放牧終了の基準については,一般的な放牧方法と同様,ある適当な残存草量によって判断されており,牛が採食不可能な草丈になるまで徹底利用されることは殆んどない。
 即ち,牛のまだ採食できる草がそのまま越冬されることになる。VOISINは,牛は地上部0.5 inch(12mm)まで採食可能と報告している。もちろん,家畜の生産性は草量の多いASPと比ベ,大巾に劣るだろうが,舎飼飼料や敷料の節減,ぼろ出しなどの省力管理など有利な面もある。
 一方,草地の維持管理の点から,平島,坂本・奥村は,北海道では10月上旬を中心とする時期の利用は,翌春の収量を最も低下させるため,できるだけさけるべきであると結論している。しかし,11月を中心とした利用によって,翌春の収量に大きな影響はないと考えられる。
 そこで,新得畜試の放牧終了後の草地に,積雪,あるいは草丈不足のため採食不可能になるまで,さらに約1か月間放牧地の徹底利用を試み,肉用牛の増体と翌春の草収量について検討した。