1.本書の利用に際しての注意事項

1)調査報告書未発行の市町村の土壌データの扱い
 地力保全基本調査は昭和34年に開始され、市町村(あるいは複数市町村)単位の報告書と土壌図が同50年までに160市町村について発行されています。残りの52市町村の内、数ヶ市町村についてはその後土壌調査が行われており、その一部については土壌図が発行されていますが、その他は農水省北海道農試の土壌調査(土性調査)報告書を参考にして、地力保全基本調査の様式に準じて取りまとめられた基礎資料があるだけです。従って、正規の報告書・土壌図としてはその大部分が未発行となっています。
 本書はこれら既発行、未発行の土壌調査報告(土壌図)をすべて網羅して、土壌に関する基本事項を取りまとめたものです。年代的にはかなり古い調査に基づいているものもありますので、この点に留意して使ってください。

2)地目別の面積集計における農業統計との違い
 地力保全基本調査では、土壌図の最小区分単位として「土壌区」を設定し、それらに対して水田(転作田を含む)、畑(草地を含む)、樹園地の3種類の地目のうちどれかをあてはめることになっています。従って、同一土壌区の中に異なる地目の土地が含まれる事がしばしばあります。
 例えば、畑地の土壌区として設定されている地区の中に水田が一部含まれている場合などです。これら土壌区を地目毎に面積集計すると、農業統計に載っている地目毎の面積集計値とは当然異なります。例えば、本書による水田の全道面積合計は統計値より約2万ha多くなっています。さらに、調査当時と現在とでは当然土地利用が異なっており、農地造成による農地の拡大と都市化による農地の減少の両面が見られます。これらに起因する面積集計上の誤差は市町村によっては結構大きなものですが、調査のやり方の上ではやむを得ないものです。例えば、空知管内北竜町は、土壌図では全土壌区が地目水田で、面積は3410ha(昭和40年の調査時は3100ha)となっていますが、農業統計では水田2890ha、畑・草地520ha(同 水田2540ha、畑564ha)となっています。ただし、後述するように、市町村単位での農耕地面積は最近の統計値に合致させてあります。

3)既発行の報告書・土壌図の記載内容と本書の内容との違い
 (土壌区、面積、簡略分級式、土壌分類に関して)
 土壌区(土壌図上での最小区分単位の地域)の数は全道で約3600ありますが、ごく一部の土壌図については土壌区を新設しています。また、調査後の市町村の合併に伴って、調査当時の市町村から他の市町村に移設した土壌区もあります。
 面積については、既存の調査報告書・土壌図に記載されているものは調査当時の面積ですが、本書では昭和60~61年版の市町村別農業統計に市町村単位で合致させてあります。なお、旧版は同じく昭和49年版の統計に基づいています。
 簡略分級式は昭和50年に、調査済みの全土壌区について、整合性を取るために一部の項目について見直しをしています。旧版ではこの見直しした分級式を載せてあり、本書でもこれを踏襲してあります。ただし、この分級式も調査当時の土壌の性質を基にしているため、現在とは異なっている部分もあります。
土壌分類については、本書では2種類の分類法による分類名を記載していますが、既存の報告書・土壌図には分類名は載っていません。(水田地帯の一部についてはこれらと異なる施肥改善調査の分類法が記載されています。)

4)地目としての草地の未分離
 前述したように、地力保全基本調査では地目として草地は設定されておらず、畑に含まれています。北海道において草地は全耕地120万haのうち52万haと広大な面積を占めていますが、土壌区単位で畑地から草地を分離するのは一部の地域を除いては非常に困難なため、残念ながら本書でも従来通りの地目区分による土壌区の解説や面積集計を載せてあります。

5)2種類の土壌分類
 本書では、「農耕地土壌分類」と「北海道農牧地土壌分類」の2種類の分類法による土壌分類名を載せてあります。これらはいずれも、地力保全基本調査がほぼ終了した時期に公表されたために既存の報告書には載っていないものです。前者は地力保全基本調査を基にして作られた分類法で、現在、農水省や学会等で一般的に使われている、全国的に通用する分類法です。本書では最新版である第二次案改訂版(昭和58年)に依っています。
 後者は、北海道独自のもので、北海道の土壌の分類には前者より適している面が多いのですが、全国的には通用しづらいでしょう。本書はその第二次案(昭和50年)に依っていますが、第二次案の改訂案も昭和60年に北海道農試から出されています。

6)コード番号
 支庁のコード番号(01~14)は北海道で一般に使われているもの、市町村(3桁)は自治省コード、農耕地土壌分類は全国土壌統コード、北海道農牧地土壌分類は小分類コード(中央農試暫定案)にそれぞれ依っています。

7)分級式の項目の記号の変更((w)→x)
 簡略分級式の要因項目の内、畑における過干の程度を表す(w)は、コンピュータ処理の都合上 x で代替しています。

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