成績概要書(2006年1月作成)
1.課題の分類
2.場所名 北海道立北見農業試験場、ホクレン農業総合研究所、サカタのタネ北海道研究農場
3.系統名 たまねぎ「北見交39号」
   (タマネギ新品種育成試験)
   (業務用途に適するタマネギ新品種育成)
   (北海道向けたまねぎ極早生F1系統の採種技術確立と栽培特性評価)

 

4.育成経過
 「北見交39号」は、早期は種作型で栽培する極早生品種であり、北見農試がホクレン農総研と共同で育成した細胞質雄性不稔系統「BPR93509-01A」を種子親とし、サカタのタネが育成した花粉親系統「NS」を交配して得られた単交配一代雑種である。平成13年に最初のF1交配を行い、平成14年に「SCX09」の系統名で北見農試、ホクレン農総研およびサカタのタネの3育成場において生産力検定予備試験を実施した。平成15年から3カ年、3育成場において生産力検定試験を実施した。また、地域適応性検定試験を、花・野菜技術センターは平成15から3カ年、(独)北海道農業研究センターは平成16年から2ヵ年実施した。平成16年からの2カ年、北見市、留辺蘂町、上湧別町、美幌町、津別町、女満別町、富良野市、岩見沢市、三笠市、札幌市および今金町において現地試験を実施した。さらに平成17年には、旭川市、音更町、東藻琴村も加えた計14カ所において現地試験を実施した。この間、北見農試とホクレン農総研において病害抵抗性検定を、北見農試、ホクレン農総研および(独)北海道農業センターにて理化学分析を実施した。平成16年には、北見管内の加工業者による加工適性評価を実施した。平成17年に府県市場、量販店、加工業者を対象とした市場評価を実施した。 

5.特性の概要(育成場成績:標準品種「北早生3号」、対照品種「北はやて2号」、参考品種「改良オホーツク1号」との比較)
  長所:既存の極早生品種と比較して一球重が大きく、収量性が高い。規格外となる変形、分球(内分球)発生率が低い。
  短所:根切り時期が遅れると裂皮球が発生しやすい。
 1)地上部生育
   6月の地上部生育盛期における葉数は「北早生3号」より多く、「北はやて2号」、「改良オホーツク1号」とほぼ同等である。草丈は「北早生3号」よりやや長く、「北はやて2号」よりやや
  短いが「改良オホーツク1号」と同等である。葉鞘径は「北早生3号」より太く、「北はやて2号」、「改良オホーツク1号」と同等である。初期生育は3品種に優り、草勢は3品種より強い。
  草姿は3品種より開張し、葉色は品種よりも淡い。葉折れは「北はやて2号」と同等でやや多く、葉先枯れはこれら3品種よりやや多い。
 2)早晩性
   肥大期は「北早生3号」より遅く、「北はやて2号」よりやや遅く、「改良オホーツク1号」より早い。倒伏期は「北早生3号」よりやや遅く、「北はやて2号」と同等で、「改良オホーツク1号」
  より早い。
 3)耐病性
  乾腐病抵抗性は「北早生3号」に優り、「北はやて2号」にやや優る。乾腐病以外の病害については、特に問題となる点はない。
 4)耐抽台性
  春まき露地移植栽培での抽台発生は認められない。
 5)収量性
  規格内収量は3品種に優る。規格内収量構成は、2LおよびL大比率が全体の8割以上を占め、3品種より高い。規格内率は「北早生3号」、「改良オホーツク1号」に優り、「北はやて2
  号」と同等である。平均一球重は3品種に優る。
 6)球品質
  総合評価(硬さ〜皮ムケ程度の各特性を総合的に判断して評価するが、特に外皮色を重視)は、「北早生3号」にやや優り、「北はやて2号」と「改良オホーツク1号」にやや劣る。
  内部品質分析結果では、「北早生3号」、「北はやて2号」と比較して、ピルビン酸生成量は同等であり、Brixは同等からやや低く、乾物率(固形分)は低い。
  糖分は、生スライスおよびソテーで「北はやて2号」よりやや低い。「北はやて2号」と比較した官能評価は、ソテー時の硬さが「やや弱い(軟らかい)」となった以外はほぼ同等である。
 7)貯蔵性
  収穫年10月末までの健全球数率は、「北早生3号」と同等で、「北はやて2号」にやや劣るが、極早生種の一般的な出荷期間中(8−9月)の貯蔵性に問題はない。

6.試験成績概要

7.普及対象地域および普及見込み面積
 普及対象地域 全道のたまねぎ栽培地域
 普及見込み面積  300ha

8.保有種子量
 1)「北見交39号」種子:3600g
 2)「BRP93509-01A」種子:350g
 3) 花粉親系統「NS」種子:100g
 4)平成18年度F1採種用母球数
  種子親「BPR93509-01A」:3,500球、花粉親系統「NS」:1,000球

9.栽培上の留意点
 1)乾腐病抵抗性は「北はやて2号」よりやや優るが、激発ほ場での栽培は避ける。
 2)裂皮等による球品質低下を防ぐため、適期の根切りおよび枯葉揃い後の速やかな収穫に努める。
 3)本系統は根張りが強いため、根切り作業が不十分な場合には切断されなかった根が土中に残り、球の二次肥大や枯葉遅延につながるおそれがある。