北海道の土の素顔
-北海道各地の代表的土壌の断面写真集-

北海道立中央農業試験場環境化学部土壌生態科 橋本 均


 本写真集は全道各地の農地や未耕地の土壌断面写真68点からなっています。土壌の種類(土壌分類名)は全国共通の分類法による名称を用い、( )内に北海道独自の分類法による名称、その他特記事項を併記しました。二桁コードは土壌群名を、アルファベットは土壌統群名を意味します。例えば03は黒ボク土(土壌群名)、03Eは淡色黒ボク土(土壌統群名)で、全ての土壌統群について記載はしていません。面積は地力保全基本調査に基づく、昭和61~62年版農林統計の農地面積によっており、水田と畑・草地(樹園地含む)に分けて示しました。また、火山灰土壌における樽前系、恵庭系などの名は、火山灰の噴出原の火山名を示しています。原則として穴の深さは1mで、10cmまたは20cm刻みの赤白ポールを添えてあります。なお、土壌分類、土壌図について詳しくお知りになりたい場合は、同じホームページ内の「北海道の土壌 Q&A」をご参照下さい。

<撮影者、機関>
橋本均、志賀弘行、安積大治、木村清、横井義雄、竹内晴信(中央農試)、 松原一實(天北農試)
菊地晃二(帯広畜大)、 天北農試土壌肥料科.

02砂丘未熟土

 海岸沿いの砂浜や砂丘に存在する砂質の土壌です。石狩、留萌、宗谷管内など主に日本海側に小面積で分布します。全道で約2800haあり、ほとんどが畑・草地です。

03黒ボク土

 排水の良い火山灰土壌です。軽石、灰質、軽しょう質、ローム質など様々な性質の火山灰からなり、腐植層の厚さやその含量も様々です。十勝、根室、釧路、網走、日高、渡島、後志、胆振管内に多く分布します。留萌管内のみ火山灰土壌が分布しません。全道で約344000haあり、うち水田2000ha、畑・草地342000haです。

A 厚層多腐植質黒ボク土:非常に黒くて厚い表土を持つ。釧路、十勝、渡島に多い。

B 厚層腐植質黒ボク土:黒くて厚い表土を持つ。根室、釧路、日高に多い。

C 表層多腐植質黒ボク土:非常に黒くてやや厚い表土を持つ。十勝、網走、根室に多い。

D 表層腐植質黒ボク土:黒くてやや厚い表土を持つ。十勝、網走、根室に多い。

E 淡色黒ボク土:表土が薄い黒ボク土。粗粒火山灰系とローム・軽しょう質系に大別される。
前者は胆振、日高に、後者は十勝、網走に多い。

04多湿黒ボク土

 排水のやや悪い火山灰土壌です。上記黒ボク土とほぼ同じ地域に分布し、十勝と根室管内に特に多いです。古い火山灰が排水不良な土地に堆積してできた土壌は、表土は腐植が多くて厚くなり、十勝地方では「湿性火山性土」と呼ばれています。全道で約83000haあり、うち水田6000ha、畑・草地77000haです。

A 厚層多腐植質多湿黒ボク土:黒くて厚い表土を持つ。十勝、根室に多い。

E 淡色多湿黒ボク土:表土が薄い多湿黒ボク土。胆振、空知、石狩に少し分布。

05黒ボクグライ土


 地下水位が高く排水不良な火山灰土壌です。全道的に面積は少なく、胆振管内に粗粒火山灰系のものが分布しています。なお、グライとは酸素が不足して土壌が還元状態になっていることを言います。全道で約6000haあり、うち水田4000ha、畑・草地2000haです。

B 腐植質黒ボクグライ土:黒くて厚い表土を持つ。道内の分布は少ない。

C 淡色黒ボクグライ土:表土が薄い黒ボクグライ土。胆振に少し分布。

06褐色森林土

 山地に普通に見られる土壌です。一般に排水が良く、土の色は黄褐色で、粘質~礫質のものまで様々あります。網走、上川管内に多く分布します。全道で約153000haあり、うち水田7000ha、畑・草地146000haです。

A 細粒褐色森林土:粘質のもの。網走、上川に特に多く、後志、空知、宗谷、十勝にも多い。

B 中粗粒褐色森林土:壌質~砂質のもの。網走、上川、十勝に多い。

C 礫質褐色森林土:礫質のもの(60cm以内に礫層)。網走、十勝、上川に多い。

07灰色台地土

 台地や丘陵地に存在する粘質で土が硬く、排水性、保水性共に不良な土壌で、疑似グライ土とも言います。一般に重粘土と呼ばれるものはこの土壌が主体で、網走、空知、上川、宗谷管内に多いです。全道で約85000haあり、うち水田21000ha、畑・草地64000haあります。

A 細粒灰色台地土:粘質の灰色台地土。網走、空知、上川、宗谷に多い。

08グライ台地土

 ほぼ平坦な台地に存在する、粘質で地下水位の高い、排水不良な土壌です。重粘土の一種でもあります。分布面積は少なく、その中では空知、上川、宗谷管内に比較的多く見られます。全道で約12000haあり、うち水田6000ha、畑・草地6000haあります。

A 細粒グライ台地土:粘質のグライ台地土。空知、宗谷、上川にやや多い。

11暗赤色土

 台地や丘陵地に分布する、褐色森林土に似た赤味の強い色の土壌で、一般に粘質で排水は比較的良好です。主に火山活動の熱の影響で土が赤くなったものと考えられています。分布面積は少なく、その中では上川管内に比較的多く、その他空知、宗谷、網走、後志管内にもわずかに分布しています。全道で約5300haあり、全て畑・草地です。

A 細粒暗赤色土:粘質の暗赤色土。上川に多く、後志、空知、宗谷、網走にも分布する。

12褐色低地土

 河川の流域や沢地、扇状地に見られる、排水が良好な沖積土壌です。土の色は黄褐色で、粘質から礫質まで様々なものがあります。道内各地に分布し、十勝、網走、上川管内に多いです。全道で約192000haあり、うち水田49000ha、畑・草地143000haあります。

A 細粒褐色低地土、斑紋なし:粘質で水の影響のないもの。十勝に特に多く、上川、留萌、網走、空知にも多い。

B 中粗粒褐色低地土、斑紋なし:壌質~砂質の水の影響のないもの。十勝に特に多く、釧路、上川、網走にも多い。

C 礫質褐色低地土、斑紋なし:礫質の褐色低地土。十勝と網走に特に多く、上川にも多い。

D 細粒褐色低地土、斑紋あり:粘質で水の影響のあるもの。後志、空知、石狩に少し分布。

13灰色低地土

 河川の流域や沢地、扇状地に見られる排水がやや不良な沖積土壌です。土の色は灰色~灰褐色で、粘質のものが主体ですが礫質のものもあります。道内各地に分布し、空知、上川、十勝、網走管内に多く、道央の水田地帯ではグライ土と共に最も普通の水田土壌となっています。全道で約122000haあり、うち水田59000ha、畑・草地63000haあります。

A 細粒灰色低地土、灰色系:粘質で湿性の程度が強いもの。空知に特に多く、上川、留萌、網走にも多い。

B 中粗粒灰色低地土、灰色系:壌~砂質で湿性の程度が強いもの。根室、胆振、石狩に分布

14グライ土

 河川の流域や沢地、泥炭地の周辺に見られる、地下水位が高くて排水が不良な沖積土壌です。土の色は灰色~青灰色で、粘質のものが多いです。道内各地に分布し、石狩、空知、上川管内に特に多く、前述の灰色低地土と共に最も普通の水田土壌となっています。全道で約79000haあり、うち水田65000ha、畑・草地14000haあります。

A 細粒強グライ土:粘質でグライの程度が強いもの。空知に特に多く、石狩、上川も多い。

D 細粒グライ土:粘質でグライの程度が弱いもの。空知、上川に多い。

E 中粗粒グライ土:壌質~砂質でグライの程度が弱いもの。各地に小面積で分布。

G グライ土、下層有機質:下層に泥炭層が出現するもの。空知、石狩、十勝、上川に多い。

16泥炭土

 河川流域の低湿地に分布する、ヨシやスゲなどの植物遺体からなる有機質土壌です。その構成植物の違いにより低位泥炭土、中間泥炭土、高位泥炭土に区分されます。自然状態では地下水位が高くて排水不良、地耐力のない、農地に不向きな土壌ですが、現在では大規模な土地改良事業(排水改良、客土)により広く農地として使われています。各地に分布し、石狩、空知、十勝管内に特に多く、石狩川流域は日本最大規模の泥炭農耕地地帯です。全道で約98000haあり、水田54000ha、畑・草地44000haあります。このうち低位泥炭土は79000haで空知、石狩、十勝に多く、高位泥炭土は15000haで空知、石狩に多く、中間泥炭土は4000haで石狩、留萌に多いです。

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