Q.16)
 「土」と「土壌」はどう違うのですか。また、ポットや鉢、ハウスで使う「土」を「土壌」と 表現するのは適切でないと言われたことがありますが、何と言えば良いのですか。

A.16)
 まず、権威ある「広辞苑」(第3版)を引いてみましょう。
つち「土・地」 :(1)土壌のこと (2)大地、地面 ((3)以降は略)
どじょう「土壌」:地殻の最上層。地殻表面の岩石が崩壊・分解して地表に堆積し、
         それに動植物の遺体が加わって生成したもの。つち。
 これを見ると、「土」と「土壌」は同じ意味で使われることもあるようですが、一般に、土壌学では「土壌」を「ある場所に存在して、地質、地形、植生、気候、さらには人為的な働きかけ、等の様々な自然条件や環境のもとで生成してきた自然体」としてとらえています。
要するに、「土壌」を「生き物」として見ているわけです。
 一方、「土」は「土壌」の意味の他に、粘土、砂、火山灰、鹿沼土、等「土壌を構成するある種の母材(物質)」の意味で使われることが多いようです。
 また、「黒ボク土」と「黒ボク土壌」、あるいは「泥炭土」と「泥炭土壌」はどう違うのでしょうか?。もちろん、明確な区別はありませんが、現在の正式な土壌の名称(土壌分類名)は「・・・土」を使っています。「・・・土壌」は土壌の名前の総称として用いられることが多いようです。
従って、以上のことから考えると、土壌を構成する一部にすぎない「母材」(あるいは「土」)を持ってきても、それはもはや土壌とは言えません。例えば、ある畑の土壌名が黒ボク土であったとして、その表層にある黒土を取って来てポット試験で使っても、「黒ボク土を用いた」とは言えません。正確には「黒ボク土の畑の表土(あるいは作土)」あるいは「畑の表層から採取した黒土」と言うべきでしょう。
 つまり、ポットや鉢に入れて使うときは、「・・・土」や「・・・土壌」と言う表現はまずいわけで、できるだけその母材あるいは「土」の素性を明記すべきでしょう。例えば、「市販のピートモス」「腐植を含む樽前系粗粒火山灰」「灰色低地土の下層から採った強粘質な沖積粘土」
など。ただし、ハウスの場合はやや異なります。完全な園芸用土あるいは人工培地だけを使うのではなく、本来その場所にある土壌も含めて使うなら、例えば、「ピートモスと粗粒火山灰を客土し、下にある粘質の表土を含めて20cm深まで耕起した細粒灰色台地土」、「堆肥やバーク堆肥を多量に投入して50cmまで深耕した中粗粒褐色低地土」等と言った表現方法が考えられます。

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