Q.18)
多くの土壌図が出されているようですが、その種類や内容、発行元について教えて下さい。

A.18)
土壌図は普通、国土地理院発行の地形図上に土壌区分の境界線を引き、それぞれ色分けされます。これまで述べてきた地力保全基本調査の土壌図以外にも各種の土壌図が発行されていますので以下簡単に説明します。なお、林業試験場からは林地のみを対象にした土壌図が出されていますが、ここでは省略します。

1)農耕地を対象とした土壌図:
 道立農試で行った地力保全基本調査には縮尺を異にする3種類の土壌図があり、以下に示します。

(1)5万分の1縮尺の土壌図
 正式な名称は土壌生産力分級図といい、地力保全調査の土壌図と言えば普通はこれをさします。農林省の指示の基に全国統一様式で作成されたもので、道内では唯一の5万分の1農耕地土壌図です。昭和34年~51年に調査、作成され、市町村単位あるいは複数市町村をまとめた地域単位で162市町村についての土壌図が計122枚印刷・発行され、その後旭川市など10市町村の土壌図が追加して印刷されました。平成10年現在、残り40市町村については手書きの原稿が完成しており、まだ印刷されていませんが、一応、北海道の全耕地119万haをすべて網羅して農耕地土壌図が作成されていることになります。

(2)20万分の1縮尺の土壌図
 上記の5万分の1土壌図(昭和51年までに作成されたもの)を基図にして編集して作ったもので、昭和54年(1979年)に、北海道耕地土壌図として地力保全基本調査総合成績書とセットで発行されました。全道を以下の7枚(7地域)に分けて作り、分類方式は全国方式(土壌統群)であすが、これをさらに北海道方式の分類を加味して細分してあります。また、要土地(土層)改良対策図として、客土、除礫、排水改良、心土肥培耕等の改良の必要性を示すオーバーレイも付いています。
 1.渡島・桧山・後志・西胆振
 2.石狩・空知・東胆振
 3.上川
 4.網走
 5.日高・十勝
 6.釧路・根室
 7.留萌・宗谷

(3)120万の1縮尺の土壌図
 上記5万分の1土壌図を基に、コンピュータを用いて高度な図形処理をして、インクジェットプリンターで打ち出して作ったものです。分類方式は全国方式の土壌群(16種類)によっています。北海道の農耕地の土壌分布を概観するのに適しています。一般には配布していなく、中央農試土壌資源科にマスター図があります。

2)農耕地及び農牧適地(農耕可能地)を対象とした土壌図:
 農水省北海道農試の土壌調査(昭和47年の第21編までは土性調査と言った)による土壌図には下記に示す3種類があります。

(1)10万分の1縮尺の土壌図
 地力保全調査とは異なり、未耕地を含めた土壌図で、農耕地と未耕地の区分はされていません。地力保全調査や後述する国土調査は全国統一様式の調査事業ですが、これは北海道農試が独自で行ってきた事業です。1951年(第1編)から始まり1988年(第32編)で完了しましたが、非常に長期間にわたっているため、かなり古くなったものもあります。1973年(第22編)までは5万分の1の地形図を単位としていたため(10万分の1の実寸に縮尺して印刷)、多くの枚数からなっていますが、1977年(第23編)からは原則として支庁を単位とした1枚の大きな10万分の1土壌図の形式となり、また、分類方式も北海道方式(2次案)に準ずるようになっています。

(2)60万分の1の縮尺の土壌図
 上記の土壌図を基に編集して作ったもので、1987年に北海道農試土壌調査の集大成として発行されました。分類は北海道方式(第2次案改訂版)に準じています。北海道の農耕地及び農牧適地は約260万haとされ、その土壌の分布の全貌を概観するのに適しています。

(3)開発局発行の10万分の1土壌図(再編集版)
 (1)の土壌図を基に、北海道開発局が再編集してまとめたもので、以下の5報告書(6土壌図)が出ています。
 石狩川水系の土壌図(石狩支庁、空知支庁、上川支庁中・南部、1987)
 上川の土壌図   (上川支庁全域、1987)
 帯広地域の土壌  (十勝支庁、1988)
 網走地域の土壌  (網走支庁南部、同北部の2枚、1989)
 根釧地域の土壌 (釧路、根室地方、1996)

3)農耕地、未耕地及び林地を対象とした土壌図:
 国土調査法に基づいて行う国土調査(土地分類基本調査)による土壌図としては、下記の3種類((1)~(3))が国土庁(旧経済企画庁)から出されています。北海道では農水省北海道農試が作成を担当しました。また、ペドロジスト懇談会(現ペドロジー学会、日本全国の土壌調査関係者で組織する研究団体)からは100万分の1土壌図が発刊されました。

(1)5万分の1の縮尺の土壌図
 林地や未耕地を含めた包括的な土壌図です。5万分の1の地形図を単位とし、表層地質図や地形分類図などとセットになっており、日本全土の自然状態を表す基幹図の一つとして位置づけられるものです。全国的にはかなり整備されてきていますが、北海道では1970年代にモデル的に作成された8枚の図があるのみであす。(浜頓別、士別、中標津、江別、恵庭、白老、江差、糠内、の8図幅)。この図の作成は国土庁の全国的事業であり、道内全域のカバーは今後の検討課題となっています。この図の実際の作成は、農耕地については地力保全基本調査の土壌図を基にし、周辺の林地や未耕地と調整を取りながら再編集したものが大部分と思われます。ただし、土壌の分類名は必ずしも統一的にはなっておらず、調査機関(農試、林試)や地域によって少しずつ異なっています。

(2)20(10)万分の1の縮尺の土壌図
 上記の5万分の1の土壌図の作成と平行して、1970年から1978年にかけて全国47都道府県を対象に54枚の土壌図が作成されています。日本全土が網羅されている、現状では唯一の基本土壌図となっています。5万分の1と同じく、表層地質図や地形分類図などとセットになっており、北海道では以下の8枚が作成されています。
Ⅰ 石狩、後志、胆振(1975) Ⅴ 渡島、桧山    (1978)
Ⅱ 日高、十勝 (1976) Ⅵ 網走       (1978)
Ⅲ 空知      (1977) Ⅶ 宗谷、留萌    (1979)
Ⅳ 上川 (1977) Ⅷ 釧路、根室    (1979)
また、この土壌図は、国土数値情報の1つとして、3次メッシュ(1Kmメッシュ)の形でコンピュータ処理できるようにデジタル化され、一般に配布されています。

(3)50万分の1土壌図
 1960年代に作成されたもので、北海道から九州まで地方別(50万分の1地方図の単位)に6枚の図幅が出されています。

(4)100万分の1日本土壌図(SOIL MAP OF JAPAN)
 1990年にペドロジスト懇談会(現ペドロジー学会)から出されたもので、北日本、中央日本、西南日本の3図幅と凡例および解説書からなっています。

4)各土壌図の発行元や問い合わせ先は下記機関です。中央農試環境化学部土壌資源科には上記の土壌図の大部分が保存されています。
 地力保全基本調査 :中央農試の土壌資源科、道立各農試の土壌肥料科
 北海道農試土壌調査:農水省北海道農試の生産環境部土壌特性研究室
 開発局発行の土壌図:北海道開発局農業計画課
 国土調査:国土庁土地局、北海道企画振興部土地水対策課
ペドロジー学会:中央農試 土壌資源科

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