北海道の耕地土壌 Q&A
-土壌の種類、分布や土壌図に関する質疑応答集-


 
北海道立中央農業試験場環境化学部土壌生態科 橋本 均

 
 大正6年(1917)以来、70年近くかけて行われてきた北海道における土壌調査は、近年ようやく終了し、様々な土壌図や報告書が出そろってきています。
 しかし、土壌図の見方がよくわからない、土壌調査や土壌分類は色々な方式があり分かりづらい、という声をよく聞きます。
 一方、現在は、土壌図を作る時代から土壌情報をシステム化する時代へと変わってきています。土壌調査によって得られた情報は膨大なものですが、これらを分かりやすく整理し、コンピュータを用いてシステム化し、様々な分野における利活用をはかっていく研究も進展しつつあります。
 この解説は、この様な状況の中で、長期にわたって道立農試が行ってきている土壌保全事業で得られた貴重な土壌調査の成果を、様々な分野の方々に利用して頂きたい、との願いから書いたものです。北海道内における土壌の種類やその分布・面積、土壌分類や土壌図について説明してありますのでどうぞご利用下さい。
 なお、本書は、土壌調査の具体的な方法や土壌に関する一般的な知識(pH,保肥力、りん酸固定力などの土壌化学性や三相分布、透水係数、保水力などの土壌物理性)、および土壌改良、土地改良の具体的な方法(堆きゅう肥、客土、暗渠排水など)などに関しては触れていませんので、必要な場合には他の適当な参考書をご覧下さい。
(注)本解説は、雑誌「北農」第60巻第1号(1993年1月)から第4号(同年10月)まで4回に渡って連載された解説資料に一部の資料を追加し、さらに、1998年時点の現状に合わせて記載内容の一部を修正したものです。

内容目次

 本解説は基礎編、初級編、中級編および参考資料の四部に分けられており、以下の33組の質疑応答の形式および13種の参考資料からなっています。

第1節 基礎編(Q.1~Q.17)
 農耕地土壌分類の概要、および北海道内各地域の土壌の種類・分布やよく使われる用語についての説明。
第2節 初級編(Q.18~Q.25)
 土壌図の種類とその見方
第3節 中級編(Q.26~Q.33)
 土壌の分類法式、特に全国方式と北海道方式について  
第4節 参考資料(面積集計、分類一覧などに関する13種の表)

 
第1節 基礎編-北海道における土壌の概説及び土壌分類の基礎知識-

Q.1)
北海道の農耕地にはどのような種類の土壌がありますか。また、全国的にみるとどのような特徴がありますか。ごく大まかに説明して下さい。

Q.2)
土壌の種類の分け方(土壌分類)は色々あるようですが、一般的にはどの方法を知っておけば良いのでしょうか。また、土壌診断や土地改良事業ではどの分類法を用いているのでしょうか。

Q.3)
全国的に用いられている土壌分類法(農耕地土壌分類)では、大きな区分として16種の土壌群に分けられているそうですが、各土壌群の特徴や、北海道におけるそれらの分布面積やその割合を教えて下さい。   

Q.4)
16種の土壌群はさらに56種類の土壌統群に細区分されると言うことですが、北海道に存在する土壌統群についてその内容を簡単に解説して下さい。

Q.5)
土壌群、土壌統群の下にさらに土壌統(全国土壌統)と言う最小分類区分があると言う事ですが、これについても簡単に解説して下さい。

Q.6)
各地域別(支庁別)にみた土地利用状況や土壌の種類・分布の特徴を簡単に説明して下さい

Q.7)
北海道で昔から使われている”特殊土壌”とはどのような土壌をさすのですか。また、低位(中間・高位)泥炭土、重粘土、ろ土、鉱質土、有機質土、乾性(湿性)火山性土、疑似グライ土、粗粒火山灰土、ポドゾルなどは具体的にはどのような土壌を言うのですか。

Q.8)
土壌のでき方(洪積、沖積など)や地形(台地、丘陵地など)の用語について説明して下さい。

Q.9)
土壌の性質を表す言葉として、土質、土性、砂壌質、埴土、細粒質、強粘質、粗粒質、礫質、あるいはHC、SLなどの用語が頻繁に使われますが、これらを整理して教えて下さい。 

Q.10)
暗渠排水や客土、除礫、混層耕などの土地改良、土層改良の対象となる土壌の種類やその面積を教えて下さい。

Q.11)
土地改良や土層改良により土壌の性質は変化しますが、土壌の分類も変わることになるのですか。

Q.12)
北海道全域の農耕地の土壌について、より詳しいことを知りたい場合は、どこに問い合わせをすれば良いのですか。

Q.13)
北海道内の各農業試験場の試験ほ場の土壌の種類を教えて下さい。

Q.14)
農耕地の土壌分類の他に、山林や草原などの山地、未耕地の土壌分類もあるのでしょうか。
また、土木(土質)や地質の分野でも”土”の分類はあると思うのですが、どのように違うのでしょうか。

Q.15)
鹿沼土、赤玉土、ピートモス、黒土などの名で様々な土が園芸用品として売られていますが、これらはどういう種類の土なのでしょうか。北海道にはこれらの土はあるのでしょうか。

Q.16)
「土」と「土壌」はどう違うのですか。また、ポットや鉢、ハウスで使う「土」を「土壌」と表現するのは適切ではないと言われたことがありますが、何と言えば良いのですか。

Q.17)
「土壌分類」に似た言葉に「土地分類」、「土地分級」あるいは「土地評価」と言う用語がありますが、これらはどんな関係にあるのでしょうか。

第2節 初級編-土壌図の種類とその見方-


Q.18)
多くの土壌図が出されているようですが、その種類や内容、発行元について教えて下さい。

Q.19)
地力保全土壌図の具体的な見方を教えて下さい。

Q.20)
地力保全土壌図や調査報告書の中に、ⅡanfとかⅢtplⅡsiと言った記号が必ず載っていますね。これは簡略分級式とか生産力可能性等級などと言うそうですが、その内容について教えて下さ い。 

Q.21)
土壌図を見て、その地区で実際に穴を掘ってみると、泥炭が出るはずなのに粘土しか出ないとか、あるいは礫が出るはずなのにが砂しか出ない、などと言ったことが良くあります。これは土壌図を作る際の調査が不十分であったためなのでしょうか。

Q.22)
20~30年以上も前に作られた古い土壌図は現在とは相当異なっている部分があると思いますが、土壌図の改訂を行う予定はありませんか。また、最近、リモートセンシングという手法で、畑地や水田の腐植区分図を作ったり、土壌の水分状態を把握したりすることができるようになったようですが、この方法をうまく使って土壌図の修正ができれば楽でしょうね。

Q.23)
土壌図は使う目的によってその種類も異なると思いますが、農家のほ場単位で土壌の性質が分かるような精度の高い土壌図は無いのですか。

Q.24)
最近は、農林統計や気象データ、自然地形などの情報がコンピュータで処理され、一般に配布されてきていますが、土壌図、土壌情報のデジタル化(コンピュータ化)の現状はどのようになっていますか。パソコンによる利用は可能でしょうか。

Q.25)
土壌図の最小区分単位を土壌区といい、各地の地名を基に名付けられた土壌区が全道に約3700ある事は分かりました。一方、土壌の種類(土壌分類)を示す名前として、「美唄統」とか「滝川統」とかいうものもあり、良く混同してしまうのですが、この違いを説明して下さい。

第3節 中級編-土壌の分類方式、特に全国方式と北海道方式についてー

Q.26)
第1、2節で使われている土壌分類の方式(農耕地土壌分類)について、もう少し詳しく教えて下さい。また、この方式は全国共通の方式と考えて良いのですか。

Q.27)
地力保全基本調査の土壌図や調査報告書には全国方式の分類名は記載されていませんが、何故ですか。また、市町村の土壌図にある各土壌区の土壌分類名は何を見れば分かるのですか。

Q.28)
北海道方式の土壌分類法(北海道農牧地土壌分類)もありますが、その概要を教えて下さい。また、なぜ独自に作ったのですか。いったいどちらを使えば良いのでしょうか。

Q.29)
この全国方式と北海道方式の分類法の違いを主要な点について解説して下さい。

Q.30)
その他にも分類方式が色々とあるようですが一通り説明して下さい。また、それらの分類間の簡単な対比表があれば教えて下さい。

Q.31)
造成土壌の分類についてもう少し詳しく教えて下さい。

Q.32)
自分で土壌調査をして土壌分類を決めるのは非常に難しそうですが、どうすれば良いのでしょうか。何か分かりやすい検索表はありませんか。あるいは、調査データを入力すれば自動的に分類してくれるパソコンのソフトはありませんか。

Q.33)
土壌図や土壌調査、土壌分類に関する参考書や公的資料を紹介して下さい。

第4節   参考資料

1)農耕地土壌分類の土壌名一覧
2)北海道農牧地土壌分類の土壌名一覧
3)農耕地土壌分類と施肥改善土壌分類の対比表
4)国土調査1/20万土壌図の分類単位
5)森林土壌の分類体系
6)農耕地土壌分類による支庁別農地面積集計
7)北海道農牧地土壌分類による支庁別農地面積集計
8)地力保全基本調査報告書・土壌図一覧
9)北海道農試土壌(土性)調査報告書・土壌図一覧
10)地力保全基本調査の土壌図未発行の市町村一覧
11)日本の統一的土壌分類体系第1次案(ペドロジー学会)
12)農耕地土壌分類による地目×支庁別農地面積集計
13)北海道農牧地土壌分類による地目×支庁別農地面積集計