11)初期生育促進・ケイ酸追肥で白くておいしいお米
    (北海道米の食味・白度の変動要因解析と高位安定化技術)

中央農業試験場 生産システム部 栽培システム科,作物開発部 稲作科
           上川農業試験場 研究部 栽培環境科,稲作科

1 試験のねらい
 北海道産米の食味・白度の実態を把握し、その変動要因を気象・栽培条件から解析する。また、初期生育向上・ケイ酸/窒素バランスの制御および根活性の改善による登熟能力の向上に着目し、食味と白度の高位安定化技術を開発する。

2 試験の方法
1)食味官能試験:1997年〜1999年、奨決現地産米「きらら397」・「ほしのゆめ」、基準:滋賀県産「日本晴」
2)栽培試験:1997年〜2000年、供試品種「きらら397」・「ほしのゆめ」、成苗・中苗、窒素施肥量は少肥(N6s/10a)、標肥(N8〜N9)、多肥(N10〜N12)、栽植密度は疎植、標準、密植(各々18.5、25.6、30.1株/u)
3)白度測定:Kett白度計 C-300 
4)防風試験:試験面積4a、防風網20m(幅)×2.7m(高さ)
5)ケイ酸質肥料施用試験:供試資材は市販ケイ酸質資材およびシリカゲル、基肥処理および追肥処理(幼穂形成期1週後追肥)
6)登熟期土壌水分低減試験:登熟期土壌水分はpF 0〜3.0

3 試験の結果
1)食味・白度の実態把握
・食味総合値の年次変動の幅は府県産の良食味品種とほぼ同程度の0.5〜0.6であった(図1)。食味総合値と蛋白質含有率には有意な負の相関関係が認められた。直線回帰式から求めた「日本晴」と同等の食味総合値を示す蛋白質含有率は、「きらら397」で7.5%、「ほしのゆめ」で8.0%であった(図2)。
2)変動要因解析試験
・玄米白度と登熟温度(出穂後40日間の積算気温)の間に正の相関関係が認められ、玄米白度19以上を確保するには登熟温度900℃・日以上が必要であった。玄米白度は良質粒歩合と高い正の相関関係があった(図3)。一方、品質の劣る腹白粒が多くても玄米白度は高くなるため、玄米品質を評価する場合、良質粒歩合も表示する必要がある。
・少肥密植栽培は幼穂形成期前に有効分げつ終止期を迎えるため(図4)、初期生育と穂揃いが良く玄米白度は向上した。
3)食味・白度の高位安定化技術
・防風処理の効果は初期生育が改善され、乾物生産量が増加して玄米生産効率が高まり、蛋白質含有率が低下し、玄米白度も向上した(図5)。
・ケイ酸質肥料の施用は成熟期茎葉のケイ酸/窒素比を高めた。成熟期茎葉のケイ酸/窒素比が高い水稲は窒素玄米生産効率が向上し、白米蛋白質含有率が低く、玄米白度も高まる傾向を示した。これらの効果は、基肥施用よりも追肥で高く、幼穂形成期1週間後に20kg/10aの施用が有効であった(図6)。
・実際栽培では、ケイ酸質肥料の基肥施用を基本とし追肥を組み合わせる。
・落水時期が早く、水分ストレスが強い条件では、千粒重・粒厚が低下し屑米が増加するため収量は低下した。また、この条件下における稲わら施用は腹白粒の増加を助長したが、ケイ酸質肥料の施用は減収の軽減と腹白粒発生を抑制する効果があった。
・登熟期の土壌水分がpF2.4以上では腹白粒が増加するため、適正な土壌水分はpF2.1〜2.3と判断された。その土壌表面状態の観察では、小亀裂が入り、わずかに足跡が付く程度であった(表1)。


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