《本書の利用にあたって》

 人間がお米や肉、魚、野菜などを食べて生きているのと同じように、農作物も様々な養分を土から吸収して生きています。農作物の場合は、窒素、リン、カリウム、カルシウム、マグネシウムを特に多く必要とし、これらは多量要素とよばれます。また、鉄、マンガン、銅、亜鉛、ホウ素、モリブデンなどはわずかに必要な成分で、微量要素と呼ばれています。

農作物はこれらの栄養素の吸収量が極端に不足したり、過剰になったりすると生育が抑制されたり、葉に黄化症状、褐色斑点などの症状が現れたりします。

1.本書の特長

 ★この資料では、イチゴ葉部における典型的な栄養障害による症状をカラー写真で示し、解説を加えてあります。

 ★症状の特徴を整理した情報一覧表(P.3 表1)、類似して紛らわしい症状の見分け方(P.3表2)および典型的な症状から検索するフローチャート(P.4 図2)を掲載しました。

 カラー写真と併せて使用することにより、どのような栄養障害か判断するための参考となります。

 ★ここで示した栄養障害の症状は、イチゴの四季成り性の品種である「エッチエス-138」および「カレイニャ」を用いて、水耕栽培条件によって症状を模擬的に発現せたものです。したがって、栄養障害の診断に当たっては環境条件によって、その症状が若干変わることもありますので注意を要します。また、他品種への適応は生育速度などの相違による症状の変化を考慮して利用してください。

 ★栄養障害症状は必須要素の単純な欠乏・過剰のほか、土壌中の養分のアンバランスによっても生じます。また、病害虫による被害症状と類似する場合もあります。正確な診断が困難な場合は、土壌・作物体の分析および病害虫診断が必要となります。このため、最終的な栄養障害の診断や緊急的な対策については、農業改良普及センター等の指導機関に相談してください。

 ★抜本的な対策のためには、土壌診断を活用した適切な土壌管理および施肥管理を心掛けるようにしましょう。

2.栄養障害の診断

  栄養障害が現れると作物の収量や外観品質・内部品質が低下する事があります。栄養障害の対策としては、液肥の施用や葉面散布などが考えられますが、まず、どのような栄養障害かを診断しなければなりません。本資料では、その診断法の一つとして、目で症状を観察して診断する方法を提示しました。

現地における栄養障害の発生
  (症状の観察)

カラー写真や検索表と照合する。
施肥管理や土壌条件も考慮する。
診断

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