[畜産環境科のページへ戻る]


書籍

「環境に配慮した畜産農場経営を目指して」


2005年3月に発行され、北海道内の農業関係機関に配布されました。

ネット上で公開しています [HTML版 目次へ] [pdf版 目次へ]


発行: 北海道立畜産試験場

発行日: 2005年3月

編集委員: 北海道立畜産試験場、北海道立根釧農業試験場、北海道立天北農業試験場、北海道農政部酪農畜産課

事務局: 社団法人北海道酪農畜産協会情報調査部


表紙イメージ
A4版・モノクロ・40ページ

「はじめに」より

 家畜ふん尿に起因する環境汚染の多くは水質汚染と悪臭である。これに対処するため、さまざまなシステムが提案されてきた。全国的に水質汚染や悪臭の苦情発生件数は1970年代中期をピークに減少してきたが、これは家畜飼養農家の減少によるもので、家畜飼養農家数あたりの苦情発生件数は依然として増加傾向にある。北海道の実態も正確には把握はされていないが、苦情発生の80%以上を河川汚染と悪臭が占めている。しかも、約70%の畜産農家は自らの農場でふん尿による環境汚染が発生していると考えている。汚染発生を危惧している農家の多くはその原因として貯蔵施設の容量不足や不適切な管理を挙げている。最近の調査では、地下水や河川水の硝酸性窒素含量が高まりつつあることが報告され、総合的な対策の必要性が指摘されている。
 一方、「家畜排せつ物の管理の適正化と利用の促進に関する法律」が制定され、平成16年度までに、家畜ふん尿の貯留施設は概ね整備された。家畜ふん尿に係る環境汚染・環境負荷増加に対して「貯留施設」の整備は一定の効果をもたらす。しかしこれだけで対応出来る課題ではない。
 家畜ふん尿は本来、有機質肥料として有効に活用されてきた。しかし、経営規模の拡大にともないふん尿量が増大し、施設整備のための負担増、管理する労働力の不足、化学肥料に比べた扱い難さ等から、家畜ふん尿は資源から「処分する」ものへとその性格を変えてきた。しかし家畜ふん尿の課題は「処分する」との考えをとる限り解決しえない。課題の多くは「資源として活用する」ことを前提とした取り組みをすることで解決できる。
 本書は、「環境を保全しながら経営を営む」ために、また、「ふん尿を資源として活用する」ために、畜産経営者が取り組むべき最低限のルールと方向性を示したものである。
 環境汚染を引き起こさない管理方法、適正な利用方法、利用を促進するための地域としての取り組み、等々を示した。畜産経営者と地域とが一体となり、同一歩調で環境管理に取り組むことでより効果が上がる。
 本書は、畜産経営者をはじめ関係者が自らを律する「自主的なルール」であることから、「北海道の畜産経営者は環境保全を重視し、循環型農業の推進役となっていく」ことを宣言・アピールする内容としてとりまとめた。環境と調和した北海道酪農・畜産を推進するための第一歩となる。