連鎖解析の原理

QTL quantitative trait loci
量的形質遺伝子座。量的形質を支配する遺伝子の場所。DNAマーカー育種ではこのQTLの位置を確かめることが最初の仕事となる。
二重ヘテロ double heterozygous
2つの遺伝子座がともにヘテロである状態。
連鎖 linkage
同一染色体上に互いの遺伝子座があるため遺伝子が共に子孫に伝わり、独立した分離が認められない状態。
組み換え recombination
減数分裂で起こる相同染色体間の部分の交換(交叉または乗り換え)により配偶子における遺伝子の組み合わせが親と異なること。組み換えの頻度は遺伝子座間の距離に比例し、遺伝子座間が近ければほと んど組み換えが起こらないが、遺伝子座間が遠いと組み換え頻度は双方の遺伝子座が別々の染色体上にあるときの頻度である50%に近くなる。
連鎖解析 linkage analysis
DNAマーカーを利用して探索する遺伝子の位置を確定する分析。DNAマーカーは全ゲノム上に均等にちらばるように約200個あまりが選ばれている。
遺伝子座間の距離 centi morgan
100回の減数分裂で1回組み換えが起きる距離を1センチモルガン(cM)という。10cMでは組み換え頻度10%、20cMでは20%となる。 20~25cMくらいの短い距離までは1cMが物理的距離の単位であるキロベースで約1000kbpに相当する。
数値例2: F2集団のマーカー型と抗病性QTLの位置推定
数値例1の集団について親世代、F1世代およびF2世代のマーカー型判定を行いF2の各個体がどちらの品種に由来するマーカーを持っているかを判定する。次に由来する品種のマーカー別(BB、 BH およびHH)に抗病性検定の結果(つよさ指数)を平均する。品種由来マーカー別のつよさ指数の平均値はマーカーが抗病性QTLに近ければ近いほど差が大き くなり、マーカーがQTLから遠いほど差がなくなる。染色体上にいくつかマーカーを配置すれば、品種由来マーカー別のつよさ指数の平均値の差が最も大きい マーカーが最もQTLに近いマーカーであると判定できる。
リファレンスファミリー reference family
遺伝子の位置を確かめる連鎖解析のためにある形質に関して極端に性質の異なるもの(品種)同士でF1をつくり、そのF1同士の交配でF2をつくる。あるいはF1をどちらかの親品種に戻し交配しバッククロスを作る。すると探したい遺伝子はF2(バッ ククロス)世代においてばらつくのでF1からもらったDNAマーカーとの照らし合わせができる。このような家系をリファレンスファミリーという。マウスではアルコールの好き嫌いの遺伝子の位置を確かめるためなどこのようなファミリーを作るのが一般的であるが、ウシではわが国では今のところ家畜改良センターと道立畜産試験場しか行っていない。
DNAマーカー育種 breeding with DNA markers
DNAマーカーの型判定結果により種畜の選抜(マーカーアシスト選抜)を行う育種手法。参考資料「マウストリパノソーマ抵抗性のQTLマッピング」における第17染色体固定F3マウスの作出はDNAマーカー育種の一例である。すなわち、F2マウスの第17染色体上の10個のマイクロサテライトマーカーの型判定を行い、抵抗性アリルと感受性アリルについてホモであるF2マウスをそれぞれ交配し、抵抗性と感受性のF3の作出に成功している。
ノンパラメトリック法 nonparametric methods
データの分布(正規分布)の仮定を必要としない検定法。データの値そのものでなくデータの順位に基づく順位和検定がよく用いられる。
最尤推定法 maximum likelihood estimation
それぞれのデータの確率分布に基づき、その確率を最大化するように組み換え頻度や遺伝子効果といったパラメーターを推定する方法。最も起こりやすいこと が起こる、自然は意地悪しないという考えが根底にある。
ロッドスコア LOD score
連鎖が無いとした時(組み換え頻度50%)の確率に対する連鎖があるとした時(組み換え頻度は50%よりずっと小さい)の確率の比を常用対数で示したスコア。ふつうロッドスコア3以上の値が得られた時連鎖ありと判定する。これは連鎖が無いとする確率に対して連鎖があるとする確率が1000倍(10の3 乗)以上大きいということを示す。連鎖するマーカー間の全ての位置(cM単位)に計算可能であるが、最もロッドスコアの高いところに遺伝子がある可能性が最も高い。
*(補足)F2集団におけるマーカー型別平均値と組み換え頻度、相加的遺伝子効果および優性効果の関係

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