所長挨拶

 第16代地質研究所長

北海道立総合研究機構
環境・地質研究本部
地質研究所長 遠藤 祐司

 

地質研究所は昭和25年に北海道地下資源調査所として産声をあげ、以降、70年近く、北海道における地質及び地下資源に関する専門研究機関としての道を歩んでまいりました。

発足時は、その名称が示すとおり、金属・非金属鉱物、石油、天然ガス、地熱・温泉あるいは地下水などの地下資源の開発を主な目的としておりました。

しかし、その後の様々な社会的な要請を受けてその研究対象を広げ、火山、地震・活断層、地すべり・斜面崩壊などの地質関連の災害に関する研究、沿岸漁業の振興に向けた沿岸海域の地形・底質に関する研究、あるいは地層に含まれる砒素などの有害物質を対象とする環境地質に関する研究など、多岐にわたる研究を進めるようになっております。

これらの研究の成果が、直接、道民の皆様の目に触れる機会は少ないかもしれませんが、それぞれ道民の皆様の生活を支える成果を確実に上げております。

その具体例を紹介させていただくと、洞爺湖町様が進めた地熱資源の開発があります。平成25年に深度約800mの地下から期待を上回る熱水を採取することに成功し、バイナリ発電と洞爺湖温泉への給湯が行われるようになりました。この成功は、長年に渡る当所の研究成果に基づくものであり、調査井の掘削位置の選定、掘削中に得られる地質及び地熱の賦存状況に関するデータの解釈、そして地熱水の利用法に至るまで、当所がサポートをさせていただきました。

また、本年2月に発表された北海道防災会議資料(地震専門委員会)では、日本海沿岸での最大想定津波の大幅な見直しがおこなわれましたが、これには当所が行った津波堆積物の分布を明らかにする研究の成果が大きく反映されております。

このほか、貴重な価値を持つ地形や地質と人間社会との繋がりを楽しみながら学べる場である「ジオパーク」が、新たな観光資源として注目されており、道内には世界ジオパークとして2地域、日本ジオパークとして3地域が認定されています。さらに、美瑛町・上富良野町からなる十勝岳山麓ジオパークが、新規認定を目指し活動しています。これらの活動に対して、当所は、北海道の地形や地質に関する研究成果を総動員して支援させていただいております。

さらに、札幌までの延伸工事が進められている北海道新幹線の整備事業においても、そのトンネルの設計・施工及び掘削した土砂対策で、当所は重要な役割を果たしております。

私ども地質研究所が研究対象とする地質は、道民の皆様が生活する場である北海道の大地を形作るものであり、その研究は上に紹介いたしましたように、地域経済の発展や安全・安心な地域社会の構築に繋がっております。

ところで、北海道の人口は平成9年をピークに減少が始まっているとされており、地域社会の維持が大きな課題となっております。人口減少社会の中でも維持することが可能な新たな社会システムの構築が求められております。そのような社会システムを実現する上で、その土台となる北海道の大地に対する理解を深め、地下に眠る資源を含めてその賢い利用法を探ることの重要性がさらに高まっていくと考えられます。

このような考えに立ち、北海道の未来につながる研究を進めていく所存でございますので、今後とも、ご協力、ご支援をお願い申し上げます。

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