試験研究は今 No.52「高酵素イオン濃度化でのヒラメの成長試験」(1990年12月14日)

Q&A? エゾバフンウニ(がぜ)は、どれくらい餌を食べますか?

  北海道にいるウニは、エゾバフンウニ(がぜ)とキタムラサキウニ(のな)が主であり、餌として食べる海藻の種類や量は地域や時期、大きさによって変わります。

  一般的に春から夏までは色々な海藻が豊富になりますが、この時期、ウニはコンブやワカメを大変多く食べます。また、量的には少ないのですが、非常に小型の海藻や石の表面に張り付いている海藻などがウニの胃の中から見付かります。

  また、コンブやワカメが繁茂していない場所では、ウニの胃の内容物にはさまざまな海藻が見つかります。

  これらのことから、ウニは餌を求めて歩き回るうちに、食べやすい海藻であるコンブやワカメが見つかると、それを集中的に食べるものと考えられます。

  最近、コンブやワカメにはウニの好みの物質(匂い)があり、それとは逆にウニの嫌いな物質を含んでいる海藻もあることがわかってきました。

  たとえば、ツルアラメという海藻は、その体の中にポリフェノールという水に溶けやすい物質を多く含み、この物質がウニの幼生の着底を阻害したり、ウニ被食を忌避させたりします。

  このような物質や海藻を上手に利用することによって、ウニを集めたり囲ったり、海藻を守ったりする技術が今後開発されるものと考えられます。

  ところで、ウニは一日にどれくらいの量の餌を食べているのでしようか。

  これは季節や飼育条件によっても異なりますが、約50グラムのエゾバフンウニをマコンブで室内飼育した場合、1月には重量の5.72パーセント、6月に5.81パーセントもの量を1日に食べます。これをウニ1個当たりの重量を70グラムとして換算すると3~5グラムに当たります。

  しかし、胆振管内の天然漁場で行った調査では、12月に2パーセント、3月に0.9パーセント、5月に2.5パーセント、6月に2パーセント弱、10月に1パーセントでした。すなわち、最も餌を多く食べる5~6月で、エゾバフンウニ1個の重量を70グラムとしてコンブだと約2グラムを食べます。この天然漁場での結果をウニの身の変化や海水温度の条件と関連づけると次のようになります。

  12月は産卵後のウニの身が回復する時期ですが、水温は8度ぐらいとそれほど低くありませんから、かなりの量の餌を食べます。3月になると、身はかなり回復し太りますが、水温が2~3度と低いので餌を食べません。5~6月に水温が9~16度に上昇すると、成熟のため盛んに餌を食べますが、10月~11月は水温が10~14度でも産卵直後なのであまり餌を食べません。

  このように、天然漁場ではマコンブで飼育した時よりも食べる餌の量が少ないという結果が出ており、最もよく食べる5~6月で1日の体重の2~2.5パーセントの量の餌を食べることや、食べる餌の量は季節やウニの成熟と関連しています。こうした試験の結果については、ウ二類の魚場造成事業などにいかされています。(中央水試)

トピックス

高酸素イオン濃度下でのヒラメ成長試験

  2~3年前、電気的刺激を与えオゾンガスを発生させて水中に吹き込み、金魚の成長を3~5倍に早める養殖装置がテレビや業界紙等で報道されましたが、中央水試では、この装置を使って実際、海産魚の養殖に応用できないかを調べるためヒラメ飼育試験を行い、結果が得られたので、ご紹介します。

  1:調査方法
  オゾンガス発生装置を設置した区と設置しない区を設定し、ヒラメ人工種苗当歳魚(平均全長119ミリメートル、重量16.6グラム)を各100尾づつ飼育した。餌はドライペレットを1日2回与え、204日間飼育した。
    • 経過日程と全長
  2:試験結果
  1. 全長は、装置設置区で119ミリメートルから215ミリメートルに、装置無設置区で119ミリメートルから220ミリメートルになり、1日当たりの伸長量は、0.47ミリメートルに対し0.50ミリメートルであった。体重は、装置設置区で16.6グラムから109.3グラムに、装置無設置区で11.9グラムから118.0グラムに増加し、期間中の増加率は6.6倍と7.0倍でいずれも大きな差はなかった。また、この間の生残率は、装置設置区で88パーセント、装置無設置区で94パーセントであった。
  2. 日間摂餌率は、各期問とも装置無設置区がやや上回った。
  3. 全期間を通じて増肉係数は両区に差はなかった。
  4. 装置設置区では、11月まで硝酸が多くなり、このためpHが低下して成長に影響を与えた可能性がある。しかしそれ以降pHは1級水産用水基準の範囲内であり、アンモニア、亜硝酸はいずれも全期間0.5ppm未満で推移していることから、11月以降は水質悪化による影響は少なかったと考えられる。溶存酸素は両区とも全期間を通して6ppm以上で差はなかった。(中央水試)

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