試験研究は今 No.231「二進法流技術開発試験事業(平成7年度新規事業紹介)」(1995年7月7日)

ニシン放流技術開発試験事業(平成7年度新規事業紹介)

  ニシンはかつて本道日本海側を中心に沿岸漁業の花形として君臨していましたが、ご存知のとおり最近は群来ることもなくなり、すっかり影を潜めている感があります。しかし、ここ道東では少々様子が違います。図1は、最近(昭和57年度以降)の釧路水試管内のニシン漁獲量の経年変化を示したものです。十勝管内では広尾町と大樹町で、根室管内では風蓮湖を漁場にもつ根室市と別海町での漁獲量が増えています。

  ところで現在道東のニシンの漁場となっている風蓮湖では、漁獲量が増え始めた昭和57年から日本栽培漁業協会厚岸事業場で人工種苗生産したニシンを放流しています(図2)。現在のところ根室支庁管内でのニシン漁獲量の増加が、この種苗放流によるものか否かは明らかではなく、放流の効果を把握する必要があります。また、仮に十分な効果が上がっていない場合は、より効果的な放流技術の確立を図る必要があります。
    • 図1
    • 図2
  そこで釧路水試資源増殖部では、地元の別海漁協と根室湾中部漁協が中心となって構成する風蓮湖産ニシン資源増大対策連絡協議会、日本栽培漁業協会厚岸事業場と協力して、本年度から平成11年までの5ヵ年計画で、ニシンの放流技術開発試験を実施していくこととなりました。この試験では、漁獲されるニシンのうち、放流した人工種苗がどれくらい含まれるのかという放流効果の確認を行います。また、放流地先の風蓮湖を中心に、ニシンがどのようなものを食べて移動、成長していくのか、どのようなものに食べられて減耗していくのかなどを調べ、この結果をもとに、いつ、どこに人工種苗を放流すればより効果的であるかを明らかにしていきます。

  放流効果の確認や人工種苗の移動・成長といったことを調べるには、まず捕れたニシンが人工種苗なのか天然個体なのかを見分ける必要があります。この判別は、2種類の方法で行います。1つはニシンの頭の中にある耳石という小さい石に、ALC(アリザリンコンプレクソン)という特別な薬品で色を付け、色の付いていない天然個体と分ける方法、もう1つはアンカータグという標識を背鰭の前方につけて(図3)、これの有無で天然個体と分ける方法です。耳石に色を付ける方法は、ニシンの頭を割り耳石を取り出して、特殊な顕微鏡で見なければ区別は付きませんが、アンカータグを付けたものは市場などでも比較的目立ちますので、発見された方は釧路水産試験場資源増殖部か日本栽培漁業協会厚岸事業場へお知らせ願います。

  地元でとれる鮮度の良いニシンが食卓を飾る日々を早く迎えられるよう、今後の取り組みに期待してください。(釧路水試資源増殖部 酒井勇一)
    • 図3

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